アガパンサスは、梅雨時から夏にかけて長く伸びた茎の先に多くの青や紫色の小花を咲かせる、涼し気で優雅な花姿が魅力の植物です。
アガパンサスの特徴や花言葉、種類について紹介します。
特徴
科名/属名 | ヒガンバナ科 ムラサキクンシラン属(アガパンサス属) (ネギ科、ユリ科で分類される場合もある) |
英語名 | African lily |
生育サイクル | 多年草 |
開花期 | 5月~8月 |
色 | 白、青、紫、ピンク、複色 |
原産地 | 南アフリカ |
おすすめの環境 | 日当たりと水はけや風通しの良い場所 |
その他の特徴 | 名前の由来は、ギリシャ語で「無償の愛」を意味する「agape(アガペー)」と、「花」を意味 する「anthos(アントス)」が組み合わさったもので、「愛の花」という意味をもつ 花弁がユリに似ていることから、以前はユリ科に分類されていた 冬でも葉が枯れずに年中緑色の葉を持つ常緑種と、冬に地上部分のみ枯れて休眠する落葉種が ある(常緑種でも、寒冷地で栽培した場合など、育てる地域や気候条件により、落葉することも ある) 切り花にすると、1週間ほど楽しむ事ができる 別名は、「アフリカンリリー」と呼ばれている |
栽培のコツ | 庭植えは、降雨にまかせて水やりはほとんど不要 鉢植えは、土の表面が乾いてきたらたっぷりと水やりをする |



花言葉
花言葉は、「恋の訪れ」、「ラブレター」、「知的な装い」です。
種類
アガパンサスは、原産国である南アフリカに10~20種類ほどの原種が自生していて、常緑種と落葉種があります。
常緑種は、年中緑が楽しめる反面、霜に弱く、冬場は藁や落ち葉などを株元に敷いたり、室内へ移動したりするなど防寒対策が必要になりますが、落葉種は、耐寒性が強く、寒冷地でも育てやすいことから、日本国内で育てる場合は、比較的温暖な関東以西の地域では常緑種、寒冷地では落葉種が適しています。
アガパンサスの園芸品種は、300種類を超えるといわれています。
主な原種と代表的な園芸品種を紹介します。
原種
アガパンサス・アフリカヌス(Agapanthus africanus)
南アフリカ(ケープ地方南西部)原産。アガパンサスの代表的な原種。
草丈は40~60cm。花色は淡~濃青紫色。常緑種。
開花時期は6~7月。
乾燥した夏や湿潤な冬といった、南アフリカ特有の気候を好み、弱酸性で砂質の土壌の岩場に自生しているため、日本の気候や、国内の一般的な庭土では栽培が難しいとされている。
日本で「アガパンサス・アフリカヌス」として流通しているものの多くは、実際は次に紹介する「アガパンサス・プラエコクス」や、その亜種1を元にして作出された園芸品種といわれている。
別名は、「ムラサキクンシラン(紫君子蘭)」と呼ばれている。
アガパンサス・プラエコクス(Agapanthus praecox)
南アフリカ原産。
草丈は50~100cm。花色は青紫色、白色。常緑種。
開花時期は5~8月。
比較的早咲きで花数が多い。
日本で流通しているアガパンサスは、この「アガパンサス・プラエコクス」か、その亜種から派生したものが多い。
亜種は3種類ほどある。
亜種名 | 原産地 | 特徴 |
アガパンサス・プラエコクス・プラエコクス (Agapanthus praecox subs. praecox) | 南アフリカ ケープ南部 | 草丈は80~100cm 花色は青紫色、白色 常緑種 |
アガパンサス・プラエコクス・オリエンタリス (Agapanthus praecox subs. orientalis) | 南アフリカ ケープ東部 | 草丈は50~100cm 花色は淡~濃紫色、淡~濃青色、白色 常緑種 1本の花茎から100輪以上咲くこともある この品種から多くの園芸品種が作られている |
アガパンサス・プラエコクス・ミニムス (Agapanthus praecox subs. minimus) | 南アフリカ ケープ南東部 | 草丈は25~60cm 花色は淡青色、白色 落葉種 |
アガパンサス・イナペルツス(Agapanthus inapertus)
モザンビーク、エスワティニ、南アフリカ原産。
草丈は90~150cm。花色は青色、紫色、白色。落葉種。耐寒性が強い。
蕾の時は上向きで、開花すると下向きに咲くのが特徴。花は筒状で、先端が少し開く。
開花時期は6~8月。
カンパヌラトゥス
南アフリカ、レソト原産。
草丈は40~100cm。花色は淡~濃青色。落葉種。耐寒性がある。
園芸品種
リリプット
草丈は40~50cm。花色は青紫色。落葉種。
開花時期は6~9月。
小型の品種で花付きが良い。
シルバー・ベビー
草丈は40~50cm。花色は白色で、花弁の縁にほんのり淡青色が入る。常緑種。
開花時期は6~7月。
小型の品種で花付きが良い。
ストリーム・ライン
草丈は50~70cm。花色は白色で、花弁の中央に青い筋がくっきりと入る。常緑種。
開花時期は6~7月。
小型の品種で花付きが良い。
ジューン・ブライド
草丈は50~80cm。花色は白色の大輪品種。落葉種。
開花時期は6~7月。
花付きが良い。

ガーデン・クイーン
草丈は60~80cm。花色は白色。常緑種。
開花時期は6~7月。
ゴールデン・ドロップ
草丈は40~60cm。花色は薄紫色、白色など。黄斑入り葉の品種。落葉種。
花のない時期は、カラーリーフとして人気がある。
開花時期は6~7月。
ツイスター
草丈は40~60cm。花色は白色と青色の二色咲きの品種。常緑種。

紫式部
草丈は90~110cm。花色は濃い青紫色。落葉種。
秋の空
草丈は90~110cm。花色は青紫色。落葉種。年に2回咲く、二季咲きの品種。

アガパンサスは、小花が咲き誇ると華やかさがあり、ブーケやアレンジメントに利用すると、爽やかでエレガントな印象を与える花です。花言葉を添えてプレゼントをしたり、高さのある花瓶に飾って楽しんだりしてみるのはいかがでしょうか。
- 亜種とは ・・・ 生物の分類学上、同一種に属していて、生息する地域により何らかの差異がみられる時に区別するものをいう ↩︎