ウォンバットの生態や魅力を探る

wombat その他動物(大型・中型)
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ウォンバットは、ずんぐりとした体形でノソノソと動く様子が可愛らしく、見ているとホッコリとした気持ちにさせてくれる、癒し系の動物です。

ウォンバットの特徴や魅力、種類について紹介します。

特徴

正式名称ウォンバット
英語名Common Wombat
分類双前歯 ウォンバット科
生息地オーストラリア南東部、タスマニア島
体長90~115cm
体重15~39kg
性格穏やか、温和、人懐こい
その他の特徴野生下の寿命は5~15年で、飼育下では15~25年ほど
ウォンバット」とは、オーストラリアの先住民であるアボリジニの言葉で「平たい鼻」
という意味をもつといわれている
地球上最大の、穴を掘る生物
体の大きさは、雌のほうが雄よりもやや大きい
野性下では、草原や森林などにトンネル状の巣穴を掘って生活している
夜行性で、夜になると地上に出て餌を探す
昼間は巣の中で眠っていることが多いが、寒い季節などは日光浴のために巣を出ることも
ある
巣穴は、1年中20℃前後に保たれていて過ごしやすい
体温調節が苦手で、特に暑い夏は苦手
内股で歩く
穴掘りや泳ぎが上手
しっぽの長さは2~6㎝ほど
分類上、最も近い仲間はコアラ
天敵は、ディンゴ、タスマニアデビル、キツネなど
チャームポイントモフモフした被毛、つぶらな瞳、ずんぐりとした丸い体
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ウォンバット1
ウォンバット2、こうしてみると近縁種のコアラに似ている⁉

生態

ウォンバットは草食性で、野性下では草、樹皮、根、キノコなどを、飼育下では、さつまいもやとうもろこし、にんじん、りんごなどを食べています。

穴掘りが得意で、前足に生えている頑丈で、長さが3~5㎝ほどある鋭い爪は、巣穴やエサのある場所まで掘り進めるのに役立っています。

巣穴の長さは、通常は3~10m程度ですが、ときには30mほどになることもあります。

巣穴には、複数の入り口や、寝室、トイレ、台所など、いくつもの部屋があります。

基本的に、繁殖期以外は単独で行動します。

稀に、複数のウォンバットで巣穴を共有することもあります。

夜行性で、巣穴で生活するため、視力はあまり良くありませんが、鋭い嗅覚と聴覚を持っています。

有袋類のなかでは珍しく、歯が一生伸び続けますが、固い樹皮などを食べることで歯がすり減るため、自然に長さが調整されています。

ウォンバットの手足は短く、前足と後ろ足はほぼ同じ長さです。

普段は内股でのんびりと歩いていますが、巣の外で天敵を見つけた際など、いざという時には、時速40㎞ほどで走ることができます。この速さで走れる時間は1分ほどといわれています。

その他のウォンバットの生態について紹介します。

出産と子育て

ウォンバットは、有袋類の草食動物で、雌はお腹に育児嚢(いくじのう)と呼ばれる袋をもっている。有袋類は発達した胎盤を持っていないかわりに、袋の中で赤ちゃんを育てる。妊娠期間は約1ヵ月で、赤ちゃんウォンバットは大きさは約2cm、重さは1グラム未満。目は見えず、毛もない状態で生まれるが、生まれてすぐに母ウォンバットの袋の中に自力でたどり着く。

1産1子(稀に双子が生まれることもある)で、赤ちゃんウォンバットは生後6~7ヵ月間ほど育児嚢で育ち、袋から出た後もしばらく母ウォンバットと行動を共にして、生後15ヵ月ほどで離乳する。

袋の出入り口は後ろ向きについているが、これは母ウォンバットが地面を掘った際に、土が袋に入らないようにするためである。

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ウォンバットの親子1
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ウォンバットの親子2

天敵をお尻で撃退

ウォンバットのお尻は、ほとんどが軟骨で覆われているため、とても硬い。

天敵に追われて巣穴に逃げ込んだり、不意に巣穴を襲撃されたりした際は、お尻で巣穴の入り口を塞いで身を守る。

ウォンバットは、硬いお尻を噛まれても大丈夫だが、天敵からしつこく攻撃を受けると、力強い後足で蹴り上げたり、巣の天井とお尻の間に天敵を引き寄せて、力強くお尻を振り上げて天敵の頭を天井にぶつけさせたりして反撃する。

この反撃で天敵が命を失うこともあるといわれている。

四角いフンの謎

野性のウォンバットは、地上(巣穴の入り口など)でサイコロのような形をしたフンを一日に80~100個ほど排出する。

四角いフンをするのは、世界中を探してもウォンバットだけといわれている。

ウォンバットの腸は約9mと長く、食べ物を消化するのに最長で2週間ほどかかる。

ウォンバットの場合、大腸の中でも主に結腸から栄養が吸収されている。

『ウォンバットは、なぜ四角いフンをするのか?』という謎について、長年研究されていたが、そのヒミツは「腸」の構造にあることが解明された。

ウォンバットの腸壁の硬さは、腸の場所によって異なるため、腸壁の固い部分と柔らかい部分をそれぞれ通過していくにつれて、水分が最大限に吸収されて角が出来て、乾燥した立方体のフンが作られていくことがわかった。

消化する際に、水分を最大限に吸収しなけらばならない要因である、生息地の乾燥した環境も影響しているのではないかといわれている。

平らではない場所に巣穴を作るウォンバットにとって、フンで縄張りをアピールするのに、巣穴の入り口などにあるフンが四角いと転がり落ちないという利点があるのではないかといわれている。

飼育下では、適度な水分補給などにより、四角くならないこともあるようです。

種類

ウォンバットは、「ヒメウォンバット(コモンウォンバット)」、「キタケバナ(北毛鼻)ウォンバット」、「ミナミケバナ(南毛鼻)ウォンバット」の3種類に分けられています。

それぞれの種類について紹介します。

ヒメウォンバット(コモンウォンバット)

生息地は、オーストラリア南東部やタスマニア島など。体長は90~115cm。体重は22~39kg。

一般的にウォンバットといえば、この種類をいうことが多い。

被毛の色は茶色や灰色で毛並みは固い。耳が丸く、鼻の周りに毛が生えていない。

キタケバナ(北毛鼻)ウォンバット

生息地は、クイーンズランド州中東部。非常に希少な種類。

3種類の中で最大種。体長は1m以上。体重は約40kg。

被毛は茶色がかった灰色で柔らかい、鼻の周りに毛が生えているのが特徴。

ヒメウォンバットより耳は少し大きい。

ミナミケバナ(南毛鼻)ウォンバット

生息地は、南オーストラリア州の乾燥地帯。体長は87~99cm。体重は約26kg。

ウォンバットの中では最小の種類。

被毛は黒みがかった灰色で柔らかい。鼻の周りに毛が生えているのが特徴。

こちらもヒメウォンバットより耳は少し大きい。

ウォンバットの個性的な生態や特徴について紹介しました。

のっそりと動く体にいろいろな秘密があり、意外とたくましい性質をもつウォンバット。

国内でウォンバットがいる動物園は数少ないようですが、機会があれば生息地であるオーストラリアなど、実際にウォンバットに会いにいってみるのもいいですね。