「キーウィ」と聞くと、フルーツのイメージが強い感じがしますが、キウイフルーツの名前の由来となる、キーウィという鳥について特徴や生態を紹介します。
特徴
正式名称 | キーウィ |
英語名 | Kiwi |
分類 | キーウィ目 キーウィ科 |
生息地 | ニュージーランド |
体長 | 45cm~65cm |
体重 | 2kg~4kg |
性格 | 人懐こい、大人しい、神経質、臆病 |
その他の特徴 | キーウィは、ニュージーランドにのみ生息する固有種で、夜行性である 翼が退化しているため、鳥の仲間でも飛ぶことができない 名前の由来は、繁殖期の雄が「キーウィ」と鳴くことから、先住民のマオリ族により名づけ られた ニュージーランドの国鳥になっている ニュージーランド・ドルの1ドル硬貨や、ニュージーランドの国籍マーク、多くの組織の紋章 や軍事用のバッジなどに描かれていて、ニュージーランドの象徴になっている ニュージーランド人は「キーウィ」と呼ばれたり、自称することがある 家事や育児に協力的なニュージーランド人の夫を「キーウィ・ハズバンド(Kiwi Husband)」 というが、孵化するまでキーウィの雄が献身的に卵を温め続ける様子に由来している |
チャームポイント | フワフワの羽毛、丸い体形 |

生態
キーウィは、ニュージーランドの固有種で、ニュージーランドの島ならではの独自の進化を遂げたといわれています。
約1,000年前に人間が移住してくるまでは、ニュージーランドには、コウモリ以外の哺乳類がいなかったため、飛来してきた鳥は天敵のいない、エサが豊富なこの島の地上での生活に適応していき、その子孫も次第に飛ぶ力を失っていったといわれています。
他の国に比べてニュージーランドに飛べない鳥が多いのは、このことが原因の一つとされています。
寿命は、野性下では約20年、飼育下では40年ほどといわれています。
キーウィは、ミミズや昆虫、多足類や果物を食べます。
羽根は羽毛というより哺乳類の体毛に近く、空を飛ぶ鳥の軽量化された骨とは違い、骨髄で満たされた重い骨をもっています。
その他の様々な生態や体の特徴について紹介します。
体のつくり
キーウィの体の大きさはニワトリほどで、雌のほうが雄よりも体が大きい。翼は極端に退化して非常に小さく、尾が無いため、飛ぶことができない。
平胸類(へいきょうるい)
キーウィは、鳥類の「平胸類(へいきょうるい)」に分類されている。
平胸類とは、胸筋が退化して羽ばたく力がないため「竜骨突起(りゅうこつとっき)1」が発達せずに平らな胸骨をもつグループのこと。
「走鳥類」とも呼ばれていて、ダチョウ、エミュー、レア、ヒクイドリなどもこの仲間で、飛べない代わりに脚力が強く、走る事が得意である。
キーウィは、走鳥類の中では最小で、太くて短く丈夫な足を持ち、速く走ることができる。
夜行性
キーウィの視力は非常に弱いが、嗅覚と触覚はとても優れている。夜に活動するため、土の中や落ち葉の裏などにいるエサを、長細いくちばしの先端にある鼻孔で嗅ぎ分けて、暗闇の中でも探し出すことができる。くちばしの先端に鼻孔があるのは、キーウィだけがもつ特徴である。
また、顔に哺乳類のヒゲのようなものが生えていて、エサを捕らえる際にセンサーの働きをする。
野性下のキーウィは、日中は巣穴や木の根元などに隠れていることが多いため、目にするのは極めて稀である。
子育て
キーウィは、鳥類の中で雌の体重に占める卵の割合がとても大きいという特徴をもっている。
体重の20%ほどにあたる重さ(約450g)の卵を一度に1~2個(稀に3個)産む。卵の大きさは長径が約13cmで、エミューやヒクイドリの卵とほぼ同じ。卵が孵化するまでの期間は約80日で、鳥類の中では最長の部類に入る。
産卵後、卵を温めるのは雌ではなく、雄が行う。親鳥にとって大きな卵であるため、上側しか温められず、卵の上下部分で10℃近くの温度差が生じる。雄は巣作りから孵化するまでの間、子育てに献身的に関わっている。
キーウィのヒナは、孵化した時にはすでに体全体が羽毛に覆われた状態で、栄養価が高い卵黄嚢(らんおうのう)をお腹に持って生まれてくるため、親鳥からエサを貰う必要はなく、孵化から数日すると自立して自分で捕食するようになる。自立する時期が他の鳥類と比べると早い。
絶滅危惧種
キーウィは、「レッドリスト(国際自然保護連合(IUCN)が作成している絶滅危惧種のリスト)」に登録されています。
原因は、かつて人間がニュージーランドに移住してきた際に持ち込まれた、外来種の哺乳類による捕食、といわれています。ネズミやイタチの仲間、犬や猫、キツネなどがあげられます。
天敵のいない環境では飛ぶ必要がなく、翼が退化したキーウィには、新たに現れた外来種に対して抵抗する術がなく、その数は激減していきました。
野生下のキーウィのヒナが、成鳥になるまでの生存率は、わずか5%ほどといわれています。
ニュージーランドでは、国の象徴として定着しているキーウィを守るための保護活動が、各地で盛んに行われています。保護活動が功を奏して、数が回復してきた種類もあります。
また、キーウィだけではなく、他の在来種を含めたニュージーランド国内の生態系を守るため、海外からの生物の持ち込みは厳しく制限されています。
種類
キーウィは、現在5種類に分類されています。
それぞれの種類について紹介します。
ブラウン・キーウィ(ノースアイランド・ブラウン・キーウィ)
ニュージーランドの北部に生息する、最も一般的な種類。名前の通り、茶色の羽毛に包まれている。
リトル・スポテッド・キーウィ(コマダラ・キーウィ)
キーウィの中で最も小さい種類で、体重は1~2kgほど。ブラウン・キーウィに比べると色が薄く、まだら模様が入る。カピティ島とその周辺地域に生息している。
グレート・スポテッド・キーウィ(オオマダラ・キーウィ)
キーウィの中で最も大きい種類で、体重は約3kg前後。ニュージーランド南島の固有種。
ローウィ(オカリト・ブラウン・キーウィ)
2003年に新たに認定された種類。ニュージーランド南島の西海岸にあるオカリトの森に生息している。
トコエカ(サザン・ブラウン・キーウィ)
ニュージーランドの南端にあるスチュアート島に生息している。

キーウィはニュージーランドで独自に進化した結果、環境の変化により絶滅の恐れがあるほどその数が激減しましたが、ニュージーランドの人々をはじめとした様々な組織により保護活動が行われていて、回復の兆しも見えてきています。
鳥でありながら、哺乳類のような特徴や他の鳥にはない体のつくりを持ちあわせた、キーウィの不思議な生態を紹介しました。
ニュージーランドでは、保護されているキーウィの様子を実際に観察できる施設が多くあり、観光ツアーも組まれています。いろいろな人々がキーウィの生態を知り、理解が深まれば、保護活動がより前進していくかもしれません。
- 竜骨突起とは・・・飛翔するための筋肉である胸筋を支える、胸骨の中央に走る突起のこと。一般的な鳥はこの突起が突き出て仕切りのようになっていて、その両側に胸筋が発達している。 ↩︎