シャクヤクは、日本では「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という、美人を例えることわざにも使われるほど古くから親しまれている、高貴な美しい花姿をもつ植物です。
シャクヤクの特徴や種類、花言葉などについて紹介します。
特徴
科名/属名 | ボタン科 ボタン属 |
英語名 | Chinese peony |
生育サイクル | 多年草(宿根草1) |
開花期 | 4月~6月 |
色 | 赤、白、黄、ピンク、複色 など |
原産地 | 中国、モンゴル、シベリアなど、アジア北東部 |
おすすめの環境 | 日当たりと水はけや風通しがよく、乾燥しない場所 |
その他の特徴 | シャクヤクは中国から日本に伝来した 伝来時期は諸説あるが、平安時代には薬草として伝わっている 江戸時代になると、観賞用として栽培が盛んになり、多くの園芸品種が作られた 開花期間は4~7日ほど 花が散る際は、開花した状態でそのままドサッと落ちていく 豪華な花姿であるため、切り花として人気が高い 別名は、「カオヨグサ(貌佳草)」、「エビスグサ(夷草)」などと呼ばれている |
栽培のコツ | 庭植えは、降雨に任せて、土が乾燥してきたらたっぷりと水やりをする 鉢植えは、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをする |



花言葉
全体の花言葉と花の色ごとの花言葉があります。
全体 | 謙遜、恥じらい、はにかみ |
赤 | 誠実、威厳 |
白 | 幸せな結婚、満ち足りた心 |
ピンク | 恥じらい、はにかみ |

咲き方
シャクヤクには、様々な咲き方があります。
一重咲き | 花弁は8~18枚程度で、めしべを囲む数多くの完全なおしべがある |
半八重咲き | 一重咲きよりも花弁が多く、外側のおしべは弁化2するが、中心部には完全なおしべがある |
金しべ咲き | 一重咲きで、おしべが発達して太くなり、黄金色に盛り上がっている |
翁咲き | おしべが細長く弁化して花の中心に集まる、花弁と違う色になることが多い |
冠咲き | おしべが翁咲きよりも弁化して、丸く盛り上がっている |
手まり咲き | 雄しべが完全に弁化して、外側の花弁と区別が付きにくく、花の中心が丸く盛り上がっている |
バラ咲き | 雄しべが完全に弁化して、全体がバラのような花姿になる |
種類
シャクヤクは、日本原産の「和シャクヤク」と、18世紀頃に中国からヨーロッパに伝わったものが品種改良されて導入された「洋シャクヤク」の2種類に分類されます。
和シャクヤクは、一重咲きが多く、洋シャクヤクは、八重咲きで香りが強いものが多いという特徴があります。
それぞれの品種について紹介します。
和シャクヤク
和シャクヤクは、一重咲きや翁咲きなど、上品な花形が主流です。
主に生け花などに使われています。
ヤマシャクヤク
野生種で、本州、四国、九州の山地などに分布している。草丈は30~50cmほど。花径は4~5cm。
花色は白色で、花弁が5~7枚の一重咲き。開花期間は2~3日。
花後にはザクロに似た実がなり、熟すと自然に裂ける。


ベニバナヤマシャクヤク
野生種で、北海道から九州まで広く分布している。草丈は40~50cmほど。花径は4~5cm。
花色は淡紅色、稀に白色もある。花弁が5~7枚の一重咲き。開花期間は3~4日。
花色が白色のものは「シロバナベニバナヤマシャクヤク」と呼ばれている。
見た目はヤマシャクヤクに似ているが、ヤマシャクヤクの色違いの種類ではなく、近縁種。
この種も花後にはザクロに似た実がなり、熟すと自然に裂ける。
ヤマシャクヤクと異なる点は、柱頭(雌しべの先端部分)がやや長くてクルッと巻き込んでいることや、葉の裏側に柔らかい毛があること。
葉の裏側に毛が無い「ケナシベニバナヤマシャクヤク」と呼ばれる種類もある。
環境省が取りまとめているレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)で、「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」(絶滅の危険が増大している種)に指定されている。
富士
園芸品種で、翁咲きの大輪種。花色はピンク色。
翁咲きの、雄しべが弁化して花の中心部がこんもりとした特徴をもつ、丸みを帯びたボリュームのある花姿をしている。
バラの甘さと菊の爽やかさをあわせたような香りがする。
洋シャクヤク
洋シャクヤクは、花弁が多く華やかな花形で、香りが豊かな品種が多いといわれてます。
花束やアレンジメントなどに多く使われています。
コーラルチャーム
シベリア東南部、中国北部原産。花色は、蕾の時は濃いコーラルピンク色、咲き進むにつれてサーモンピンク色、やがて淡いオレンジ色に変わり、色の変化を楽しめる。
草丈は60~80cm。花径は13~15cmの半八重咲きの中輪種。
サラベルナール(サラベル)
ヨーロッパ原産。花色は淡いピンク色。草丈は80~90cm。
花径は20~25cmのバラ咲き、または八重咲きの大輪種。
19世紀半ばから20世紀初頭にかけて活躍したフランスの女優、サラ・ベルナールが名前の由来。
開花すると、甘い香りを放つ。開花期間は3日ほど。
花色が美しく、華やかな花姿などから、ウェディングブーケとしてよく使われる。
ソルベット
モンゴルやチベット原産。草丈は60~80cmほど。花径は13~18cm。
花色は花の外側が薄ピンク色で、中間がクリーム色、中心部分がピンク色の3段に色分けされた変わり咲き品種。
ボリュームのある花は、華やかな雰囲気がある。
開花すると、甘い香りを放つ。

シャクヤクには、この他にもたくさんの品種があります。

美人の例えに使われるシャクヤクは、多くの品種や咲き方があり、個性豊かな花姿を楽しむことができます。
いろいろな品種からお気に入りのシャクヤクを見つけて、育ててみてはいかがでしょうか。