スミレの魅力と花言葉について

Violet 花図鑑
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スミレは日本各地に自生していて、春になると山や野原、道端など様々な場所で咲いています。可憐な花を咲かせるスミレの魅力について紹介します。

特徴

科名スミレ
英語名Violet
生育サイクル年草
開花期3月~5月
紫、白、ピンク、黄
原産地日本、中国、朝鮮半島、北半球の温帯地域
おすすめの環境日当たりのよい場所を好む
その他の特徴別名は、「相撲取草(スモウトリグサ)」、「マンジュリカ」などと呼ばれている
栽培のコツ庭植えでは、基本的に雨水のみで充分だが、土が乾いている場合は水やりをする
鉢植えでは、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをする

花言葉

全体の花言葉と花の色ごとの花言葉があります。

全体誠実、謙虚
真実の愛、貞節
あどけない恋、無邪気な恋
ピンク愛、希望
田園の幸福、つつましい喜び

花の構造

スミレの花の構造は、花弁が5枚あり、上の2枚を「上弁」、両側の2枚を「側弁」、下の1枚を「唇弁」または「下弁」と呼びます。唇弁(下弁)の基部(根本の部分)は、「距(きょ)」と呼ばれる袋状の突起があり、中に花蜜を蓄えています。

種類

スミレは、現在約500種類あるといわれています。スミレの園芸品種はたくさんあり、パンジーやビオラもその一つです。日本に自生している品種や改良された品種、パンジーやビオラなどを除いた輸入品種を総称してスミレと呼んでいますが、本来はスミレ科スミレ属の「Viola mandshurica(ビオラ・マンジュリカ)」という品種を指します。ちなみに、パンジーやビオラは、ヨーロッパに広く分布しているサンシキスミレを交配してつくられた園芸品種で、一年草として扱われています。

スミレは、茎の有無によって「有茎種」と「無茎種」に大きく分けられます。それぞれの種類に属している品種をまとめました。

有茎種< 地上茎が10cmほど成長して、花や葉がつく種類 >
・ツボスミレ
・タチツボスミレ
・オオタチツボスミレ
・アオイスミレ
・オオバキスミレ
・ツクシスミレ
・ニオイスミレ など
無茎種< 地上茎が発達せずに、花や葉が根元から出る種類 >
・スミレ
・アカネスミレ
・アリアケスミレ
・コスミレ
・ナンザンスミレ
・ノジスミレ
・ヒゴスミレ
・ヒメスミレ など

主な品種をいくつか紹介します。

有茎種

タチツボスミレ

北海道から沖縄まで日本でよく見られる一般的な品種。草丈は5~30cmで、花色は薄青紫色。花の中心に筋が入る。花茎が花期には6~10cmほどで、花後になると高く伸びる。名前の由来は、花後に茎がタチ(立ち)上がる特徴と、庭を意味する「ツボ(坪)」からつけられたといわれている。

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タチツボスミレ

タチツボスミレは個体数が多いため、品種がさらに分類されていて、白花の品種は「シロバナタチツボスミレ」、花色が白く距が紫色の品種は「オトメスミレ」、タチツボスミレに比べて花色が濃く、芳香がある品種は「ニオイタチツボスミレ」など、他にも様々な品種がある。

アオイスミレ

北海道から九州にかけて、丘陵地や低山のやや湿った林床や、道端などに分布している。草丈は3~8cmで、花色は白に近い淡紫色。全体に毛が多い。名前の由来は、葉が徳川の家紋であるフタバアオイに似ていることからきている。花期は3〜4月。

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アオイスミレ

ニオイスミレ

アジアやヨーロッパなどの広い範囲に分布している。草丈は10~15cm。花色は濃い青紫色で、芳香が強く甘い香りを放つ。花や葉から香料が作られる。耐寒性に優れているが暑さに弱い。花期は12月~3月。

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ニオイスミレ

無茎種

スミレ

北海道から九州にかけて、日本各地で日当たりの良い草地や道端などに分布している。花色は濃紫色で、側弁は有毛。名前の由来は諸説あるが、植物学者である牧野富太郎氏が唱えた説で、花の形が大工さんの使う墨壺(墨入れ)に似ていることから 、「墨入れ」が「スミレ」に転じたといわれている。

アリアケスミレ

本州から四国、九州の日当たりの良い、やや湿った場所に分布している。丈夫な品種で、道端に自生している。草丈は7~11cm。花色は白色、淡紫色で、濃紫色のすじが入る。名前の由来は、花色が有明の空のように変化に富むことからきている。

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アリアケスミレ

ノジスミレ

北海道から九州にかけて日当たりの良い道端、野原などに分布している。草丈は5~10cmで、花色は青みのある濃紫色。側弁は無毛で、葉と茎に白い短毛が生えている。花からはいい香りがする。

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ノジスミレ

ヒメスミレ

本州から四国、九州の日当たりの良い道端、野原などに分布している。草丈は5~10cm。花色は濃紫色で、側弁は有毛。全体的にスミレに似ているが、やや小さいため、花名に「姫」がつけられた。

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ヒメスミレ

味わう

スミレはエディブルフラワー(edible(食べられる)flower(花))の一つで、食べることができます。花をサラダやデザートに添えると、お皿が一段と華やかに彩られます。花は砂糖漬けや酢の物、汁の実にしたり、葉をおひたしや天ぷら、和え物、炒め物などにしたり、様々な料理に利用されています。

ただし、ニオイスミレは種と根に有害な成分があるため、注意が必要です。

スミレは、日本各地の野山に群生していますが、街中のアスファルトの間からも可憐な花を咲かせる、実はとてもたくましい花です。スミレの咲く頃に時間をみつけて、スミレのある風景を探しに出かけてみてはいかがでしょうか。