ペンギンの種類別特徴を徹底解説!

penguin その他動物(大型・中型)
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ペンギンは、動物園や水族館などでペタペタと歩く姿が可愛らしい、愛嬌たっぷりな動物です。

ペンギンの種類ごとの特徴や生態などについて紹介します。

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特徴

正式名称ペンギン

英語名

Penguin
分類ペンギン目 ペンギン科
生息地南極海から流れ出る寒流が到達する近隣地域
(南極大陸、オーストラリア、南米、アフリカ、ガラパゴス諸島など)
体長40~130cm(種類ごとに異なる)
体重1~35kg(種類ごとに異なる)
性格団体行動が好き、愛情深い
その他の特徴食性は肉食性
南半球1生息していて、一生の大半を海で過ごす、海鳥(うみどり)の仲間
飛ぶことはできない
翼がオールのような形に進化した、フリッパーと呼ばれる、短くて木板のように固翼で
水中を素早く泳ぐ
フリッパーで叩かれると痛い
寒い地域に生息するイメージが強いが、温暖な地域にも生息している
基本的に一夫一妻制のペアを形成する
基本的に年に1回、換羽2を行う
短く見える足は本当は長く、足の骨が曲がった状態で胴体の中に隠れている、泳ぐ際に
水の抵抗力を最小限にするためと考えられている
雪や氷上、砂浜などで腹ばいになり足で地面を蹴ってソリのように滑る移動方法を「トボ
ガン(英語で“小型のソリ”の意味)」といい、陸上を素早く移動することができる
チャームポイント2本足でよちよち歩く
penguin2
ペンギン
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泳ぐペンギン
penguin tobogan
トボガンしているペンギン

種類

ペンギンは6属18種類に分類されています。

それぞれの種類について紹介します。

コウテイペンギン属

①コウテイペンギン(エンペラーペンギン)

南極大陸に生息している。

体長は100~130cm、体重は20~40kg。

ペンギンの中で最大の種類。

寒い地域で生き抜くために、皮下脂肪を蓄えて体温を逃さないようにしている。また、大きな体に比べてフリッパーやくちばしは小さいが、外気に触れる部分を最小限にすることで体内からの放熱を抑えている。

頭部と背中側が黒色、腹側が白色で、側頭部の耳の周辺はオレンジ色、胸の上部は黄色。

くちばしの上部は黒色、下部はピンク色、またはオレンジ色。

団体行動を好み、テリトリー意識は薄い。

普段は、エサ場が近い南極大陸の沿岸地域に生息しているが、繁殖期になると、将来生まれてくるヒナが天敵に襲われないようにするため、また海への転落防止のために2週間以上かけて200kmほど内陸へ移動して、南極の浮氷と陸の境目あたりにある「コロニー(繁殖地)」へ向かう。

コロニーには雄が先に到着して、2〜3週間ほど遅れて雌が到着する。

冬季に繁殖して、1度に1個産卵する。巣を作らない。

産卵を済ませた母ペンギンは、卵を父ペンギンに預けて、自分の体力回復と子供に与えるためのエサを求めて遠方の海へと出かけていく。

父ペンギンは、母ペンギンから受け取った卵を腹と足の間に収めて温める。

南極は寒い時にはマイナス60度になり、風速60mのブリザードが吹き荒れるなか、母ペンギンが戻るまでの間、仲間たちと身を寄せ合いながら、父ペンギンは絶食した状態でひたすら卵を温め続ける。

抱卵後、約2週間ほど経つとヒナが生まれるが、父ペンギンは胃に蓄えていたエサを、ヒナに少しずつ与えて、さらにお腹と足の間でヒナを温め続ける。

父ペンギンの絶食期間は2ヵ月半~3ヵ月ほどで、父ペンギンの体重は絶食前と比べて40%近くも減少してしまう。

母ペンギンがヒナの元に戻ると、育児を交代して、今度は父ペンギンが長期間の空腹を満たすために海へ出かけていく。エサをたくさん食べた父ペンギンがコロニーに戻り、母ペンギンとエサやりを交代することを数回繰り返す。

ヒナは、頭は黒色で、顔は白色、体は灰色のフワフワした羽毛で覆われている。

ヒナは、ある程度育つと食事量が増えるため、両親が同時にエサを探しに出かけるようになる。

ヒナは両親が不在の間、「クレイシ(ペンギンの保育所)」と呼ばれるヒナ達の集団を作り、寒さや天敵から身を守る。クレイシは、他の種類のペンギンにもみられる。

ヒナが生まれてから巣立つまでの期間は、1ヵ月半~2ヵ月ほど。

主にアジ、イワシ、イカ、タコ、エビなどを食べる。

水深約560mまで潜ることができる。

寿命は、15~20年ほどといわれているが、長崎水族館(現:長崎ペンギン水族館)で28年以上飼育されていた個体が記録されている。

天敵はヒョウアザラシ、シャチ、オオフルメカモメ、トウゾクカモメなど。

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コウテイペンギン
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コウテイペンギンの行進
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②キングペンギン(オウサマペンギン)

フォークランド諸島や、サウスジョージア島、ケルグレン島、プリンスエドワード諸島など南緯45~60度の亜南極の島々に生息している。

体長は85~95cm、体重は14~18kg。

ペンギンの中で2番目に大きい種類で、比較的スリムな体型が特徴。

コウテイペンギンと同様に、1度に1個産卵して、卵を腹と足の間に収めて温める。巣を作らない。

頭部と背中側が黒色、腹側が白色で、側頭部の耳の周辺はオレンジ色、首元から胸の上部にかけてオレンジ色のグラデーション模様がある。

ペンギンの中で最大のくちばしを持つ。

くちばしの上部は黒色、下部はピンク色、またはオレンジ色。

キングペンギンとコウテイペンギンのくちばしの下部のピンク色、またはオレンジ色の部分は「下嘴板(かしばん)」と呼ばれていて、皮膚の角質のような仕組みで、年に1度剥がれ落ちる。

キングペンギンが発見された当初は、ペンギンの中で最大だったことが名前の由来であるが、その後の調査で、さらに大きい種類であるコウテイペンギンが見つかった。

見た目がコウテイペンギンと似ているため、間違えられやすい。

見分けるポイントは、頭から首にかけての黄色、またはオレンジ色の模様がつながっているのがコウテイペンギンで、つながっていないのがキングペンギン。

母ペンギンと父ペンギンが交互に抱卵して孵化させる。

ヒナは茶色のフワフワした羽毛で覆われている。

他のペンギン場合、ヒナが生まれて巣立つまでの期間は約2~3か月であるが、キングペンギンは1年ほどかけて育てる。

コウテイペンギンと同様に、ヒナはある程度育つとクレイシを形成する。

主に小魚やイカ、タコなどを食べる。

寿命は、野性下では約20年、飼育下では30年以上といわれているが、長崎ペンギン水族館で39年以上飼育されていた個体が記録されている。

天敵はヒョウアザラシ、シャチ、オタリア、トウゾクカモメ、オオフルマカモメ、サヤハシチドリなど。

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キングペンギン
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キングペンギンの親子

アデリーペンギン属

③アデリーペンギン

主に南極大陸及びその周辺の島々に生息している。

南極大陸で繁殖を行うのは、コウテイペンギンとアデリーペンギンの2種類のみ。

体長は70~75cm、体重は3~6kg。

頭部と背中側が黒色、腹側が白色で、足はピンク色。尾羽が長い。

目の周りは、「アイリング」と呼ばれる白い羽毛で縁取られている。

くちばしは黒色で、防寒のために羽毛で覆われている。

性格は攻撃的で、テリトリー意識が強いといわれている。

群れで生活して、小石を積み上げて巣を作る。

雄は、より高く小石を積み上げた巣を作り上げることで、雌に繁殖能力の高さを示すことから、小石の争奪戦や他の巣からの盗難行為がよく見られる。

夏季に南極大陸の沿岸の岩場や周辺の島々で巨大なコロニーを作る。

コロニーには雄が先に到着して、少し遅れて雌がやってきて、つがいが成立する。

1度に2個産卵する。卵が孵化するまでは約35日かかる。

産卵後、最初に父ペンギンが抱卵して、母ペンギンは約2週間かけてエサを求めて出かけていく。

抱卵は、足の上に卵を乗せて、かがみ込んだ腹ばいの状態で行う。

母ペンギンが戻ると、今度は約1ヵ月間絶食していた父ペンギンがエサを求めて出かけていき、再びコロニーに戻り、交互に抱卵する。

ヒナは茶色がかった灰色の羽毛で覆われている。

ヒナは生まれてから3~4週間ほど両親に守られながら育つ。その後ある程度大きくなり、両親が揃ってエサを採りに行くようになると、クレイシを形成して、生後45~55日ほどで巣立つ。

主に雄は魚類、雌はオキアミをよく食べるといわれている。

時速25kmで泳ぐことが出来る。

寿命は15~20年といわれている。

天敵はヒョウアザラシ、オオトウゾクカモメなど。

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アデリーペンギン
育児中のアデリーペンギン

④ジェンツーペンギン

南極海の島々やその周辺に生息している。

体長は75~80cm、体重は4.5~6kg。

ペンギンの中で3番目に大きい種類で、最も早く泳ぐこと(瞬間時速36kmほど)が出来る。

頭部と背中側が黒色で、腹側が白色。頭に白色のヘアバンドのような模様がある。

目の周りは、アイリングで縁取られている。

くちばしはオレンジ色で足は黄色。

性格は臆病で穏やか。

ペアが出会うと、おじきのような動作をして挨拶を交わす。

夏季に南極大陸の周囲の島々にコロニーを作り、雄と雌が協力して、石や草などを積んで円形の巣を作る。

1度に2個産卵する。1ヵ月ほど両親が交互に抱卵する。

ヒナは頭から背中にかけて灰色、腹側は白色の羽毛で覆われている。

孵化後、ヒナはさらに約1ヵ月間両親にエサを貰い、守られながら育つ。その後ある程度大きくなり、両親が揃ってエサを採りに行くようになると、クレイシを形成して集団で過ごし、3か月ほど経つと巣立つ。

主にオキアミ、小魚、イカなどを食べる。

寿命は20年前後といわれている。

天敵はシャチ、ヒョウアザラシ、オタリア、オオトウゾクカモメなど。

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ジェンツ―ペンギンの親子

ヒゲペンギン

南極海の島々やその周辺に生息している。

アデリーペンギン、ジェンツーペンギンと繁殖地が重なっているが、他の2種類より高い斜面などに巣を作ることでうまく棲み分けている。

体長は70~75cm、体重は3.5~5kg。

頭部と背中側が黒色で、顔と腹側が白色。目は赤茶色で、足はピンク色。

顎に黒色のラインが入り、ヒゲのように見えることが名前の由来。

顎の黒色のラインが帽子のアゴ紐に似ていることから、別名で「アゴヒモペンギン」とも呼ばれている。

性格は攻撃的。

夏季に南極大陸の周囲の島々でコロニーが形成されるが、営巣しようとした場所が、他のペンギンと重なった場合、攻撃して相手を押しのけてしまう。

1度に1~3個(通常2個)産卵する。

産卵後、他の種類のペンギンは父ペンギンが最初に抱卵するが、ヒゲペンギンは、まず母ペンギンが抱卵する。その後交代しながら抱卵して、約1ヵ月ほど経つと孵化する。

ヒナは灰色の羽毛で覆われている。

孵化後、ヒナはさらに約1ヵ月間両親から給餌を受ける。その後さらに成長すると、クレイシを形成して親ペンギンから給餌を受けながら集団で過ごし、2か月ほど経つと巣立つ。

主にオキアミ、小魚などを食べる。

寿命は15~20年といわれている。

天敵はヒョウアザラシ、サヤハシチドリ、オオトウゾクカモメなど。

hige penguin
ヒゲペンギン

マカロニペンギン属

頭に黄色い冠羽をもつのが特徴。

⑥マカロニペンギン

南極半島や亜南極海域の島々、主に南ジョージア島、サウスサンドウィッチ諸島、ケルゲレン諸島などに生息している。

繁殖期以外は渡りを行い、稀に南アフリカやオーストラリアまで渡ることがある。

体長は66~75cm、体重は3.5~6kg。

頭部と顔、背中側が黒色で、腹側が白色。足はピンク色で、くちばしは赤味がかっている。

黄色い冠羽は、頭頂部で左右がつながっていて、目の後方へ向かって垂れ下がっている。

外見が、18世紀のイギリスで流行した「マカロニ族(イタリアの最新ファッションを取り入れたイギリス人の伊達男)」を連想させることからその名がついた。

性格は攻撃的。

夏季に岩場や丘陵地帯、斜面などに巨大なコロニーを作る。その規模は数十万羽のものもあり、小石や岩のかけらで作られた巣の間隔は30~40cmほどで、かなり密集している。

コロニーには雄が先に到着して、1週間ほど遅れて雌がやってくる。

1度に大きさの異なる卵を2個産むが、2個目(145~155g)を産卵後、小さくて孵化する可能性の少ない1個目(90~95g)の卵は、巣の外に蹴りだして破棄される。

抱卵期間は約35日で、母ペンギンと父ペンギンが交代で行う。

ヒナは頭から背中にかけて濃い灰色、腹側は白色の羽毛で覆われている。

孵化後、ヒナはさらに約1ヵ月間両親から給餌を受ける。その後さらに成長すると、クレイシを形成して親ペンギンから給餌を受けながら集団で過ごし、2か月ほど経つと巣立つ。

主にオキアミ、小魚、イカなどを食べる。

寿命は15~20年といわれている。

天敵はオオトウゾクカモメ、サヤハシチドリ、ミナミオオセグロカモメ、オオフルマカモメなど。

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マカロニペンギン

⑦ロイヤルペンギン

南極大陸とオーストラリア大陸の中間に位置する、マッコリー島と周辺の島々に生息している。

体長は68~75cm、体重は4.0~6.5kg。

マカロニペンギンと外見や生態がよく似ている。マカロニペンギンとの間に種間雑種が産まれる事もある。

頭部、背中側が黒色で、顔と腹側が白色。足はピンク色で、くちばしは赤色。

黄色い冠羽は、マカロニペンギンと同じ特徴をもつ。

マカロニペンギンは顔が黒色だが、ロイヤルペンギンは白色。

9~10月頃に繁殖を行ない、丘陵地帯や斜面などにコロニーを作る。平らな砂地にくぼみを掘り、小石や草を置いて営巣する。

1度に大きさの異なる卵を2個産むが、2個目(約150g)を産卵後、1個目(約100g)の卵は、巣の外に巣の外に出してしまい温めない。

ヒナは頭から背中にかけて濃い灰色、腹側は白色の羽毛で覆われている。マカロニペンギンのヒナと似ていて、見分けるのが難しい。

孵化後、ヒナはさらに約10~20日間両親から給餌を受ける。その後さらに成長すると、クレイシを形成して親ペンギンから給餌を受けながら集団で過ごし、生後2か月ほど経つと羽が生え揃い、巣立つ。

主にオキアミ、小魚、イカなどを食べる。

寿命は約10年といわれている。

天敵はオオトウゾクカモメ、 ニュージーランドクイナ、 オオフルマカモメ、ミナミゾウアザラシなど。

ロイヤルペンギンは、1870年~1919年の間、「ペンギン・オイル」という油を採取するために狩猟の対象になっていた。生息地であるマッコリー島にオイル製造工場が作られて、最盛期には毎年平均15万羽のペンギン(ロイヤルペンギン、キングペンギンを含む)が犠牲になっていた。その後、マッコリー島でのペンギン猟が禁止されて以降、個体数は回復してきている。

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ロイヤルペンギン

⑧イワトビペンギン

主に南極圏の島々、南インド洋や南大西洋の島々に生息している。

生息地によって、ミナミイワトビペンギン、ヒガシイワトビペンギン、キタイワトビペンギンの3種類に分類されている。

体長は45~58cm、体重は2.2~4.2kg。

マカロニペンギン属の中では、最小のペンギン。

頭部と顔、背中側が黒色で、腹側が白色。足はピンク色で、目とくちばしは赤色。

黄色い冠羽は、左右に分かれて目の上から後ろにかけて広がり、頭頂部の黒い冠羽と共に逆立っている。

両足をそろえて前方に跳ぶことができる。岩場を跳ねて移動することが名前の由来。

性格は攻撃的で喧嘩好き。自分の縄張りに近づく生物は、同じペンギンでも、より大きな動物や人でも、体格に関係なく攻撃する。

10月頃、繁殖地に戻り、岩場に巨大なコロニーを形成する。巣は雄が小石や草を集めて作る。

1度に2個産卵するが、小さい1個目の卵はほとんど抱卵されることはなく、2個目の卵が1ヵ月間ほど母ペンギンと父ペンギンによって交互に抱卵される。

ヒナは頭から背中にかけて濃い茶色、腹側は白色の羽毛で覆われている。

孵化後、ヒナはさらに1ヵ月間両親から給餌を受ける。その後さらに成長すると、クレイシを形成して親ペンギンから給餌を受けながら集団で過ごし、3か月ほど経つと巣立つ。

主にオキアミ、魚、イカ、タコなどを食べる。

寿命は約20年といわれている。

天敵はオットセイ、アシカ、ヒョウアザラシ、オオトウゾクカモメ、オオフルマカモメなど。

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イワトビペンギン

⑨フィヨルドランドペンギン(キマユペンギン)

ニュージーランドの固有種で、フィヨルドランドからスチュアート島周辺にかけて生息している、希少な種類。

生息地の1つである、フィヨルドランド国立公園は、1990年に「テ・ワヒポウナム」の名称で、世界遺産(自然遺産)に登録されている。

ペンギンの仲間では珍しく、森に住む種類。

別名は、「ヴィクトリアペンギン」とも呼ばれている。

体長は50~60cm、体重は3~4.8kg。

頭部と顔、背中側が黒色で、腹側が白色。足はピンク色でくちばしは赤色で太く、目も赤色。

黄色い冠羽は、左右に分かれてくちばしのあたりから後ろにかけて長く垂れ下がる。

頬のあたりに白色の羽毛のラインが何本か入るのが特徴。

性格は臆病だが、天敵が現れた際には、特徴的な白色の線を際立たせるように頬を膨らませて威嚇をする。

6~7月頃(南半球では冬季)に繁殖期が始まり、熱帯雨林の倒木の下や、木の洞、岩の割れ目などに営巣する。コロニーには雄が先に到着して、その後すぐに雌がやってくる。基本的に単独で営巣することが多いが、稀に小さな集団を形成することもある。

冬に繁殖するペンギンは、フィヨルドランドペンギン、エンペラーペンギンの2種のみ。

1度に2個産卵するが、まず父ペンギンが抱卵して、その後母ペンギンと交代しながら35日間ほど卵を温める。

両方の卵を育てようとするが、1個目の卵から生まれたヒナは体が小さいため、エサの取り合いに負けてしまい親からエサを貰うことができず、数日で亡くなってしまう傾向があり、他のマカロニペンギン属と同様に2個目の卵から生まれたヒナのみ育つことが多い。

ヒナは頭から背中にかけて濃い茶色、腹側は白色の羽毛で覆われている。

孵化後、父ペンギンが温めて、その間ヒナへの給餌は母ペンギンが行い、3週間ほど経つとヒナはクレイシに加わるようになり、親ペンギンから給餌を受けながら集団で過ごし、生後60~80日ほどで巣立つ。

主にオキアミ、魚、イカなどを食べる。

寿命は15~20年といわれている。

天敵はニュージーランドクイナ、人間が持ち込んだ犬、ネズミ、テン、オコジョなど。

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フィヨルドランドペンギン

⑩スネアーズペンギン(ハシブトペンギン)

ニュージーランドの固有種で、主にスネアーズ諸島に生息している。

体長は51~61cm、体重は2.5~4.5kg。

フィヨルドランドペンギンとよく似ているが、スネアーズペンギンは、くちばしの付け根はピンク色の皮膚が露出していて、頬に白色の模様がないのが見分けるポイント。

頭部と顔、背中側が黒色で、腹側が白色。足はピンク色で、クチバシは赤色で太い。

黄色い冠羽は、左右に分かれてくちばしのあたりから後ろにかけて長く垂れ下がる。

9月頃になると、コロニーに雄が先に到着して、1週間ほど遅れて雌がやってくる。岩場や低木の下などに営巣して、巣の周囲に小石や小枝、草や泥などを並べて、他の個体の巣との境界線を作る。

1度に大きさの異なる卵を2個産む。両親が交代しながら約35日間卵を温める。フィヨルドランドペンギンと同様に、1個目の卵は孵化するものの、2個目の卵から生まれたヒナのみ育つことが多い。

ヒナは頭から背中にかけて茶色、腹側は白色の羽毛で覆われている。

孵化後、父ペンギンが温めて、その間ヒナへの給餌は母ペンギンが行い、3週間ほど経つとヒナはクレイシに加わるようになり、親ペンギンから給餌を受けながら約50日間集団で過ごして、巣立っていく。

主にオキアミ、魚、イカ、タコなどを食べる。

寿命は約11年ほどといわれている。

天敵はニュージーランドアシカ、 ヒョウアザラシ、オオフルマカモメなど。

⑪シュレーターペンギン(マユダチペンギン)

主にニュージーランドのアンティポデス諸島、バウンティ諸島に生息している。

体長は60~70cm、体重は4~6.5kg。

頭部と顔、背中側が黒色で、腹側が白色。足はピンク色で、くちばしは赤色で周りは白色の皮膚が露出している。

黄色い冠羽は、左右に分かれてくちばしのあたりから後ろにかけて生えていて、ブラシのように逆立っていて、自在に上げ下げできるのが特徴。

9月頃、岩場などのコロニーに雄が先に到着して、2週間ほど遅れて雌がやってくる。

1度に大きさの異なる卵を2個産むが、この大きさの違いはマカロニペンギン属のなかでも最大で、1個目より2個目の卵のほうが、平均して85%ほど大きかったという記録がある。

小さい1個目の卵はほとんど抱卵されることはなく、2個目の大きい卵のみ抱卵することが多い。両親が交代しながら約35日間卵を温める。

ヒナは頭から背中にかけて茶色、腹側は白色の羽毛で覆われている。

孵化後、2~3週間ほど両親から給餌を受ける。その後、ヒナはクレイシに加わり、親ペンギンから給餌を受けながら過ごして、生後70日ほどで巣立つ。

ヒナがクレイシにいる間、親鳥がヒナをクレイシの外に呼び出して給餌をする、「呼び出し給餌」が行われる。

主にオキアミ、イカ、タコなどを食べる。

寿命は約17年ほどといわれているが、稚内市立ノシャップ寒流水族館で28年以上飼育されていた個体が記録されている。

天敵はオオトウゾクカモメ、オオフルマカモメなど。

フンボルトペンギン属

⑫フンボルトペンギン

ペルーからチリにかけての海岸や沖合いの島々に生息している。

体長は64~68cm、体重は4~5kg。

ペンギンの中では、日本国内で最も飼育数が多い種類。

頭部と顔、背中側が黒色で、顔に白色の細いラインがある。腹側が白色で黒い斑点があり、胸に1本の黒色の帯状の模様が入る。くちばしは黒色で、くちばしの周りの部分はピンク色の皮膚が露出している。足は黒色、目は赤茶色。

性格は臆病で、警戒心が強い。

繁殖期は特に決まっていないが、暑い夏を避けて繁殖活動が行われる。

コロニーには雄が先に到着して、海鳥などのフンが長年積み重なって化石のようになった「グアノ層」や砂地、岩の隙間やサボテンの根元などに営巣を始める。その後、数日遅れて雌がやって来る。

1度に2個産卵する。両親が交代しながら約40日間卵を温める。

ヒナは頭から背中にかけて茶色や濃い灰色で、腹側は白色の羽毛で覆われている。

孵化後、3~4週間ほど両親から保護されながら給餌を受ける。その後もクレイシは形成されず、両親が同時にエサを採りに行っている間、ヒナは単独で巣で待ち、生後75~85日ほどで巣立つ。

主にイワシやサンマ、イカや甲殻類などを食べる。

寿命は約25年ほどといわれている。

天敵はキツネやミナミトウゾクカモメなど。

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フンボルトペンギン

⑬マゼランペンギン

アルゼンチンやチリの海岸に生息している。

体長は65~70cm、体重は4~5kg。

ポルトガル出身の探検家フェルディナンド・マゼランが率いるマゼラン艦隊が世界一周の航海中、南米大陸の先端を通過した際に、当種のペンギンを発見したことが名前の由来。

別名は「パタゴニアペンギン」と呼ばれている。

頭部と顔、背中側が黒色で、顔に白色の太いラインがある。腹側が白色で黒い斑点があり、胸に2本の黒色の帯状の模様が入る。くちばしは黒色で、くちばしの上や目の周りはピンク色の皮膚が露出している。足は黒色、目は赤色。

毎年4~8月頃に北上して、ペルーやブラジルの沖合まで渡りを行う。フンボルトペンギン属で渡りを行うのはマゼランペンギンのみ。

性格は協調性があり、警戒心が強く、攻撃的。

9月頃に雄が先にコロニーに到着して、数日後に雌がやって来る。雄は営巣地を、雌は雄を巡ってそれぞれ激しく争う。砂地や砂利に掘った穴や岩間の隙間などに営巣する。

1度に2個産卵する。産卵後はコロニーに平和が訪れる。

産卵後、まず母ペンギンが抱卵する。その後交代しながら抱卵して、40日間ほど経つと孵化する。

ヒナは頭から背中にかけて茶色で、腹側は白色の羽毛で覆われている。

孵化後、1ヵ月間ほど両親から保護されながら給餌を受ける。その後もクレイシは形成されず、両親が同時にエサを採りに行っている間、ヒナは単独で巣で待ち、生後70~120日ほど(繁殖地により異なる)で巣立つ。

主にオキアミ、魚、イカ、タコなどを食べる。

寿命は約15年ほどといわれている。

天敵はオオフルマカモメ、オオトウゾクカモメ、マゼランカモメ、オタリアなど。

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マゼランペンギンの親子

⑭ケープペンギン

アフリカ大陸南西部の大西洋沿岸に生息する、唯一の種類。

体長は60~70cm、体重は3~4kg。

アフリカ大陸最南端にあるケープタウン(喜望峰)周辺に生息しているのが名前の由来。

別名は「アフリカンペンギン」や、「アシグロ(足黒)ペンギン」、ロバのような鳴き声を発することから、「ジャッカス(英語で“オスのロバ”の意味)ペンギン」などと呼ばれている。

頭部と顔、背中側が黒色で、顔に白色の太いラインがある。腹側が白色で黒い斑点があり、胸に1本の黒色の帯状の模様が入る。くちばしは黒色で、くちばしの上や目の周りはピンク色の皮膚が露出している。足は黒色、目は暗い色。

性格は攻撃的。

通年繁殖が可能で、繁殖期は特に決まっていない。

岩場などのコロニーに雄が先に到着して、2週間ほど遅れて雌がやってくる。地面を掘ったり、石を積み重ねたりして営巣する。

1度に2個産卵する。

産卵後、両親が交代しながら抱卵して、40日間ほど経つと孵化する。

ヒナは頭から背中にかけて茶色で、腹側は白色の羽毛で覆われている。

孵化後、40日間ほど両親から保護されながら給餌を受ける。その後も特に大きなクレイシは形成されず、両親が同時にエサを採りに行っている間、ヒナは巣で待ち、生後70~100日ほどで巣立つ。

主に魚、イカ、タコなどを食べる。

寿命は約15~20年ほどといわれている。

天敵はマングース、野生化したネコ、シャチ、サメ、ミナミアフリカオットセイ、ミナミオオセグロカモメなど。

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ケープペンギン
cape penguin2
生息地のケープペンギンたち

⑮ガラパゴスペンギン

南米エクアドルの赤道直下にある、ガラパゴス諸島に生息する固有種。

ペンギンの中で、熱帯海域に住む唯一の種類。

ガラパゴス諸島の周囲の海には、フンボルト海流とクロムウェル海流という2つの寒流が流れ込み、海水温が低くなることや、栄養豊富な海水が運ばれてきてエサが確保し易いことから、熱帯気候であってもペンギンが生息することができる。

体長は48~53cm、体重は2.4~2.6kg。

頭部と顔、背中側が黒色で、目から喉にかけて細い白色のラインがある。腹側が白色で黒い斑点があり、胸に2本の黒色の帯状の模様が入る。くちばしは黒色で、くちばしや目の周りはピンク色の皮膚が露出している。足は黒色、目は褐色。

ペンギンの中で唯一、年に2回換羽を行う。

性格は警戒心が強い。

通年繁殖が可能で、繁殖期は特に決まっていない。海水温が低く、エサが豊富な時期に繁殖活動を行う傾向がある。エルニーニョ現象により海水温が上昇すると、エサとなる小魚がいなくなるため、繁殖活動を抑制する。つがいの一部は、年に2回繁殖することがある。

暑さをしのぐため、岩陰や溶岩の割れ目といった日陰になる場所に、分散して巣が作られる。

1度に2個産卵する。

産卵後、両親が交代しながら抱卵して、40日間ほど経つと孵化する。

ヒナは頭から背中にかけて茶色で、腹側は白色の羽毛で覆われている。

孵化後、1ヵ月間ほど両親から保護されながら給餌を受ける。その後もクレイシは形成されず、両親が同時にエサを採りに行っている間、ヒナは巣で待ち、生後65日ほどで巣立つ。

主に魚、イカ、オキアミなどを食べる。

寿命は約10年ほどといわれている。

天敵は人間によって持ち込まれて野生化した犬や猫、キツネなど。

暑さに強くないため、熱帯気候で過ごすための暑さ対策として、冷たい海流が流れ込む海に飛び込んだり、陸地にいる時には犬のように口を広く開けて荒く呼吸(パンティング)をしたり、フリッパーを広げたりして、体にたまった熱を逃がそうとする。

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ガラパゴスペンギン

コガタペンギン属

⑯コガタペンギン(フェアリーペンギン)

オーストラリア南部やニュージーランドに生息している。

体長は35~43cm、体重は約1kg。

ペンギンの中で最小の種類。

別名は「リトルペンギン」、「ブルーペンギン」などと呼ばれている。

頭部と背中側が青味がかった灰色で、腹側が白色。くちばしは黒色で、足はピンク色。フリッパーに白色の縁取りがある。

性格は気性が荒く、攻撃的で、縄張り意識が強い。巣に近づくと攻撃する。

他のペンギンの種類は直立二足歩行だが、コガタペンギンは前傾姿勢で歩くため、ペンギンの中で最も原始的な種類と考えられている。

コロニー周辺に定住する傾向があり、9月頃からから始まる繁殖期には、雄が先に繁殖場所に到着して、その後雌がやってくる。草むらなどに穴を掘って営巣する。

1度に2個産卵する。

産卵後、最初は父ペンギンが抱卵して、その後交代して約30~40日間卵を温める。

ヒナは頭から背中にかけて茶色で、腹側は白色の羽毛で覆われている。

孵化後、2週間ほど両親から保護されながら給餌を受ける。その後もクレイシは形成されず、両親が同時にエサを採りに行っている間、ヒナは単独で巣で待ち、生後60日ほどで巣立つ。

主に魚、イカ、タコ、甲殻類などを食べる。

寿命は約6~20年ほどといわれている。

天敵はカモメ、ウミワシ、サメ、ニュージランドアシカ、野生化したイヌ、ネコ、キツネ、イタチなど。

普段は夜行性で、明け方に採餌のために海へ出かけて、夕方になると集団で陸地にある巣穴へ帰る。

オーストラリアのフィリップ島では、日没に集団で海から巣穴へ戻る様子が「ペンギンパレード」と呼ばれて人気が高く、このパレードを見るために観光客が多く集まる。

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コガタペンギン

⑰ハネジロペンギン

ニュージーランド南東のバンクス半島とモトナウ島に生息している。

体長は40~45cm、体重は約1.2~1.3kg。

別名は「シロツバサペンギン」、「ハネジロコビトペンギン」、「マガイコビトペンギン」などと呼ばれている。

コガタペンギンよりも体がやや大きく、外見や生態が似ている。

頭部と背中側がコガタペンギンよりも薄めの青味がかった灰色で、腹側が白色。くちばしは黒色で、足はピンク色。コガタペンギンと同様にフリッパーに白色の縁取りがあるが、ハネジロペンギンのほうが縁取りの幅が広い。

性格はとても攻撃的。巣に近づくとくちばしでつついたり、フリッパーで叩いたりして攻撃する。

明け方に採餌のために海へ出て、日没後に陸に上がる。

コロニー周辺に定住する傾向があり、7~8月頃から繁殖期が始まると、岩穴や洞窟の奥に営巣する。

1度に2個産卵する。

コガタペンギンに比べて繁殖期間は短いが、それ以外はコガタペンギンの繁殖に似ているといわれている。

孵化するまでは約40日間で、両親に保護されながら給餌を受けて過ごし、生後65日ほどで巣立つ。

ヒナは茶色っぽいふわふわの羽毛で覆われている。

主に魚、イカ、タコ、甲殻類などを食べる。

寿命は約20年ほどといわれている。

天敵はイヌ、ネコ、キツネ、イタチなど。

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ハネジロペンギン

キガシラペンギン属

キガシラペンギン

ニュージーランドの固有種で、スチュアート島、キャンベル島、オークランド諸島に生息している。

体長は66~78cm、体重は約4.5~6kg。

別名は「キンメペンギン」、「グランドペンギン」などと呼ばれている。

背中側が黒色で、腹側が白色で、頭部は黄色。目の周囲から後頭部にかけて、淡い黄色の太いラインが1本入り、前頭部から頭頂部には、黒色の筋模様がある。目は金色。

性格は用心深い。

コロニー周辺に定住する傾向があり、5月頃に繁殖活動が始まり、単独で海岸付近の斜面や茂みなどに営巣して、コロニーは形成しない。

1度に2個産卵する。

産卵後、両親が交代しながら抱卵して、40日間ほど経つと孵化する。

ヒナは茶色のフワフワした羽毛で覆われている。

孵化後、6週間ほど両親から保護されながら給餌を受ける。給餌は2羽のヒナに平等に行われる。その後もクレイシは形成されず、両親が同時にエサを採りに行っている間、ヒナは巣で待ち、生後110日ほどで巣立つ。

主に魚、イカなどを食べる。

寿命は9~11年ほどといわれている。

天敵はイヌ、ネコ、アシカ、イタチなど。

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キガシラペンギン

以上で18種類全てのペンギンの特徴について紹介しました。

それぞれのペンギンに個性があり、子育て方法などを比較してみると、その生態や生息地域の環境などに大きな影響を受けていることがわかります。

今後もペンギン達が変わらずに子孫を残していけるよう、私達が環境に優しい行動を選択していくことが大切なのかもしれません。

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当サイト内最多クラスの文字数でお届けしました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

  1. 南半球とは … 地球の赤道より南側に位置する地域のこと。四季が北半球と逆になる。半球9111223568 ↩︎
  2. 換羽とは … 鳥類の羽毛が季節や成長に応じて抜け替わること。 ↩︎