ホオズキは、実を包む袋状の形をした姿が個性的で、街角や縁日などで見かけることのある植物です。ホオズキの種類や花言葉、その他のホオズキにまつわる話や魅力について紹介します。
特徴
科名 | ナス科 |
英語名 | Chinese lantern plant |
生育サイクル | 多年草 |
開花期 | 6月~7月 |
色 | 白、クリーム色 |
原産地 | 東アジア |
おすすめの環境 | 日当たりや風通し、水はけのよい場所 |
その他の特徴 | ホオズキの実は、花が終わった後の7月~9月頃に付く 別名は、「ヌカヅキ」、「カガチ(輝血)」、「アカカガチ(赤輝血)」、「サンショウ(酸漿)」 などと呼ばれている |
栽培のコツ | 庭植えは、夏場に晴れ間が続き、土が乾燥しているようであれば水やりをする 鉢植えは、土の表面が乾いてきたら、たっぷり水やりをする |
花言葉
ホオズキの花言葉は、「心の平安」、「自然美」、「偽り」、「欺瞞」、「ごまかし」、です。
種類
ホオズキの品種は100種類近くあり、観賞用と食用に大別されています。
ホオズキの実を包む提灯のような部分は、花が咲いた後に萼(がく(花の外側にある、葉が変化したもの))が袋状に変化したもので、秋になると紅葉します。
観賞用の萼は、緑色→オレンジ色→赤色へと変わり、食用は、緑色→褐色に変化していきます。
それぞれの主な品種を紹介します。
観賞用
観賞用ホオズキは、古くから解熱や咳止め、利尿などに効くといわれて利用されてきた歴史がある。
その一方で、観賞用ホオズキの株全体には微量のアルカロイド、特に根にはヒストニンというアルカロイド系の成分が含まれているため、食用にするのは避けた方が良い。
ヨウラクホオズキ(瓔珞ほおずき)
江戸時代に日本で作られた園芸品種。通常は提灯のような形の萼が、仏像の胸や首を飾る装飾品の「瓔珞(ようらく)」の形に似ていることが名前の由来。瓔珞は、元々インドの貴族の装身具だったものが仏教に取り入れられたもの。三日月の形をした、なぎなたの刃のようにも見える萼の中には、種が出来ないため、株分けで増やす。別名は、「ナギナタホオズキ」と呼ばれている。
タンバホオズキ(丹波ほおずき)
京都周辺で昔から作られている品種。草丈は100cmほどの大型品種。実が大きく、比較的寒さに強い。切り花や鉢植え用に使われる。
サンズンホオズキ(三寸ほおずき)
草丈は15〜20cmほどの小型品種。小さな実をたくさんつける。鉢植えで育てるのに向いている。
食用
食用ホオズキは、萼の中の実の部分を食べる。実は、赤くならずに黄色や緑色になる。
南米原産で、現地で広く栽培されるようになり、その後ヨーロッパに伝わり、古くから食用として普及している。1990年代以降、日本でも栽培されるようになった。

食用ホオズキには、「ビタミンA」、「ビタミンC」、「鉄分」、「ナイアシン」、「βカロテン」、ビタミンBの一種である「イノシトール」など、豊富な栄養素が含まれている。
ショクヨウホオズキ(ストロベリートマト)
熟してくると萼が褐色になり、中には2cmほどの黄色の実がある。ベリー類に似た、甘酸っぱくて濃厚な味わいが特徴。

オオブドウホオズキ(トマティーヨ)
花色は黄色。実は3cmほどの大きさで、トマトのような味がする。サルサソースやグリーンソースなど、メキシコ料理によく使われる。緑色の時に食べると酸味のある味で、熟すと黄色になり、甘みが増す。紫色の種類もある。
センナリホオズキ(千成ほおずき)
日本では古くから野生化している。一年草の品種。花色は黄色。実は熟すと淡い黄色になる。名前の通り、たくさんの実をつける。味は少し甘くて酸味がある。
ほおずき市の由来
「ほおずき市」で有名なのは、東京(台東区)にある浅草寺で、7月9日~10日に開かれます。毎年多くの人々で賑わい、浅草の夏の風物詩になっています。

浅草寺でこの日に、ほおずき市が開かれるのには理由があります。
室町時代末期頃から、功徳(くどく)日といわれる縁日が設けられるようになりました。功徳日とは、参拝すると普段より多くの功徳を得るとされる日で、寺社により異なります。功徳とは、善い行いのことで、功徳を心がけるとご利益があるとされています。縁日とは、神仏などに縁(ゆかり)のある日のことで、縁日になると寺社に人々が集まることから、そこに市(いち)が立つようになりました。
浅草寺では7月10日は、最大の46,000日分の功徳が得られる日とされていて、「四万六千日(しまんろくせんにち)」と言われています。46,000日は約126年で人間の寿命の限界に近いことから、一生分の功徳が得られる縁日として、参拝客が多く訪れます。江戸時代には、我先に四万六千日の縁日に参拝をしようと、前日の9日から浅草寺へ詰めかける人々で賑わったことから、9日と10日が縁日とされるようになりました。四万六千日の縁日は浅草寺で始まり、他の寺社でも行われるようになりました。

ほおずき市は、実は浅草寺が最初ではなく、東京(港区)にある愛宕(あたご)神社で、千日詣り(せんにちまいり)にほおずき市を開いたことが始まりです。特に多くの功徳が得られる日を、四万六千日と呼ぶ前は、千日詣りと言われていました。
愛宕神社を訪れた大勢の参拝客に向けて、青いほおずきを煎(せん)じて飲むと、大人の癪(しゃく)や子どものお腹の虫退治に効くとして売ったところ評判が良く、青いほおずきの露店が立ち並ぶようになり、参拝土産としてほおずきが定着していったそうです。
愛宕神社が千日詣り(四万六千日)の縁日にほおずき市を開いていたことから、四万六千日の縁日を最初に始めた浅草寺も、その影響を受けてほおずき市を開くようになり、愛宕神社をしのぐほど盛大になっていったそうです。

お盆に飾られる由来
ホオズキは、お盆の時期になるとお供えとして仏壇や盆棚(精霊棚(しょうりょうだな))、お墓などに飾られます。
その理由は、ホオズキの赤い提灯のような萼の形からきています。お盆にご先祖様が迷わずに帰って来られるよう、道しるべとなる提灯に見立てて、ホオズキが飾られます。

ご先祖様の精霊は体を持たないため、お盆の期間中はホオズキの萼がつくる空洞の中に身を宿して過ごすと考えられています。
ホオズキを仏花と共に花瓶に活けたり、麻紐などで一つ一つ均等に結び付けて仏壇や盆棚に吊るしたり、お皿などに並べてお供えしたり、様々な飾り方があります。

ホオズキは、種類によりますが、目で楽しめて食べても楽しめる、日本でも昔から親しまれてきた植物です。街中や園芸店などでホオズキを見かけたら、観賞用か食用かなど調べてみたり、ほおずき市に出かけたりするのも楽しいかもしれません。