ホッキョクグマは、その白い毛並みが特徴的で、クマの中でも最大級の動物です。
ホッキョクグマの生態について紹介します。
特徴
| 正式名称 | ホッキョクグマ |
英語名 | Polar Bear |
| 分類 | 食肉目 クマ科 |
| 生息地 | 北極圏、北アメリカ大陸北部、ユーラシア大陸北部 |
| 体長 | 雄:2.5~3m 雌:2~2.5m |
| 体重 | 雄:400~600kg 雌:200~350kg |
| 性格 | 凶暴、獰猛 |
| その他の特徴 | 日本では通称で「シロクマ」と呼ばれている クマの中では最北に住んでいる 基本的に単独で行動する 妊娠した雌以外は冬眠しない 泳ぎが上手 陸地よりも、泳いだり海氷に乗ったりして海上で過ごすことが多い 近縁種のヒグマから進化したといわれていて、遺伝学的に大差は無く、ヒグマと交配して 生殖能力を持った子グマを産むことが出来る 寿命は野生下では25~30年ほどで、飼育下では30~35年ほど 天敵はシャチやサメなど |
| チャームポイント | モフモフした被毛、小さい耳 |

生態
ホッキョクグマは、極寒の環境で生活していくために、その生態には様々な特徴があります。
身体的特徴
ホッキョクグマは、白色のフサフサした被毛に覆われているが、皮膚は黒色で、皮膚の下には厚さ10cmほどの脂肪層がある。
黒い皮膚は熱を吸収し易く、厚みのある脂肪は、吸収した熱を保温するため、厳しい寒さの中でも体温を維持することができる。
ホッキョクグマの寒さ対策は、他にもいくつかある。
被毛
白く見える被毛は、実は透明で、1本1本の中心部は空洞になっている。
太陽熱を体内に吸収するために、被毛の空洞内で太陽光が乱反射して、白色に見える。
また、空洞内に空気を貯め込めるため、体を保温したり、浮力がついて泳ぎ易くなったりする。
白色の被毛は、氷上や雪上にいる時に、保護色になる。
被毛は脂気があり、二層構造になっていて、内側に最大5cmほどのアンダーコート、外側には約15cmほどのガードヘアが生えている。
アンダーコートは密生していて保温性が高く、ガードヘアには防水、防風効果があるため、二層の被毛によって体温の低下を防ぐ構造になっている。
水気を帯びにくい毛質により、水に濡れても乾き易い。
足裏にも被毛が生えていて、雪や氷の上を歩く際に、防寒や滑り止めの働きをしている。

赤ちゃんホッキョクグマや若い個体は、被毛の色が真っ白であることが多く、成体はクリーム色を帯びた白色になることもある。これは、被毛の空洞に汚れが入ることで、乱反射した色が変化したもので、藻などが入り緑色に見えることもある。

泳ぎやすい体格
ホッキョクグマは、他のクマに比べて、骨格が細長くて頭や耳が小さく、首は少し長くて足が大きい傾向がある。
スラリとした流線形の体型で頭や耳が小さいと、泳ぐ際に水の抵抗力が少なくなり、大きな足で水をかいて、効率よくスムーズに泳ぐことができる。

その他の体の特徴
他のクマに比べて、さらに違いがあり、目、鼻、口が小さいという特徴がある。
小さい目は、雪や氷の反射光による眩しさを軽減するため、また小さい鼻と口は、体温の放熱を極力減らすためといった、極寒の世界に適応したつくりになっている。
また、獲物を確実に捕らえるために、爪は長くて鋭く、強力な顎と鋭い歯をもっている。
食性
ホッキョクグマは肉食で、アザラシを主食にしているが、魚類や鳥類、卵や漂着したクジラの死骸なども食べる。
とくに、ワモンアザラシやアゴヒゲアザラシといった、アザラシの脂肪を好んで食べる。
アザラシが海氷の上で休んでいるところを、水中や風下から襲い掛かったり、アザラシが泳ぐ途中で息継ぎをするために、海氷に開けている呼吸穴から顔を出すのを待ち伏せしたりして捕食する。
繁殖
ホッキョクグマの繁殖期間は3~7月頃で、10~11月頃に雌が雪を掘って作った巣穴で、11~1月頃に1~4頭(通常は2頭)出産する。
着床遅延1により、実際の妊娠期間が短いことから、産まれて間もない子グマは体重が600~700g程度で、目が開いてない状態で生まれてくる。
母グマは出産してから2~3ヵ月間、巣穴で絶食状態で授乳する。巣穴を出る頃には、巣穴に入る前の25~50%も体重が減少している。
子グマは、2歳頃まで母グマのそばで、氷上の移動や狩猟方法などを学び、その後しばらくすると一人で狩猟するようになる。
子グマが独立すると、母グマは再び繁殖活動の準備を行い、2~3年毎に出産を繰り返す。


絶滅の危機
ホッキョクグマは、現在「レッドリスト(国際自然保護連合(IUCN)が作成している絶滅危惧種のリスト)」に登録されており、絶滅の危機に瀕しています。
地球温暖化による気温上昇と環境汚染が主な原因で、ホッキョクグマにとって重要な、狩りや休息、移動といった、生活するうえで主要な拠点となる海氷が出現する期間が減少して、獲物を狩る期間も短くなった。
従来から海氷が無い時期は、陸地に上がることになるため、陸地では主食であるアザラシを捕食することが難しいことから、絶食に近い状態で過ごしていたが、その期間が延長されてしまうと、さらに過酷な状況に陥ることになる。
ホッキョクグマの生活の拠点となる海氷の出現時期が減少することにより、個体数の減少や体重の減少、繁殖率の低下などが懸念されている。
生息地周辺の各国では、狩猟規制や、保護区の設置、周辺国が共同で行う保護活動など、ホッキョクグマを保護するための対策が様々なかたちで推進されている。


ホッキョクグマには、厳しい寒さの中で生き抜くために必要な、体のしくみや狩猟方法がありますが、気候変動により、種の存続が危ぶまれています。
地球温暖化の影響が、ホッキョクグマのみならず、他の生物や私達にとっても危機であることを再認識して生活していきたいですね。
- 着床遅延とは・・・受精卵がすぐに着床せずに、しばらくの間子宮内を浮遊した後に着床すること ↩︎