ラッコは水にプカプカと浮きながら、お腹の上でお気に入りの石で貝を割って食べる様子が可愛らしいですね。今回はラッコの生態について紹介します。
特徴
正式名称 | ラッコ |
英語名 | Sea Otter |
分類 | 食肉目 イタチ科 |
生息地 | 北アメリカとアジアの太平洋沿岸 |
体長 | オス:120cm~140cm、メス:100cm~130cm |
体重 | オス:25kg~40kg、メス:20kg~30kg |
性格 | 温和、賢い、きれい好き |
その他の特徴 | ラッコは「海棲哺乳類(かいせいほにゅうるい)」(海に住む哺乳類)で、水中で体温を維持 するために約8億本もの体毛に覆われている お気に入りの石を常にわきの下のたるんだ皮膚をポケットのように使って収納している 複数の石や、食べ残した貝もそのポケットにしまう習性がある 石は貝を割るためだけではなく、食物や石を探すために潜水する際、重りのかわりにもなる お気に入りの石を無くしてしまった時はだいぶ落ち込んでしまう 英語名では「Sea Otter(海のカワウソ)」と呼ばれていて、カワウソの祖先から進化して、 主に河川や湖などに生息するようになったのがカワウソで、海洋に進出したものがラッコと いわれている 「ラッコ」という呼び名は、アイヌ語のラッコを表す言葉がそのまま使われるようになった 寿命は約10~20年で、なかには23年生きた個体もいた 他の生き物を攻撃することは、捕食の時以外はほとんどない |
チャームポイント | 愛嬌のある仕草 |
種類
ラッコは北アメリカとアジアの太平洋沿岸の風や波の影響を受けにくい、岩場のある海岸や海藻が多く茂る沿岸部に生息していて、種類は3つに分けられます。
アラスカラッコ(キタラッコ)
アリューシャン列島、アラスカやアメリカのワシントン州、カナダのブリティッシュコロンビア州沿岸に生息している。体長は他の2種の中間ぐらい。

ロシアラッコ(チシマラッコ、アジアラッコ)
千島列島、コマンドルスキー諸島などに生息している。最も体が大きい種類。
カリフォルニアラッコ(ミナミラッコ)
カリフォルニア中央部大平洋沿岸に生息している。

被毛について
生息地のおよそ2℃~4℃の冷たい水中で生きていくために、ラッコにはアザラシやマナティーのような体温を維持するための分厚い皮下脂肪はありませんが、代わりに約8億本もの極めて密度が高く(約15万本/㎠)、柔らかい被毛があります。被毛は二層構造になっていて、ガードヘアと呼ばれる長い毛の下にアンダーファーという細かい毛が生えています。被毛の間に空気を含ませることで保温効果を得ることができたり、水に浮きやすくなったりします。生きていく上で重要な役割を果たす大切な被毛をフワフワにして空気を保っておくため、ラッコは常に毛づくろいをしています。
そんなラッコは現在、絶滅の危機に瀕しています。
18世紀にラッコの被毛が上質な毛皮になることに気づいた人々が乱獲するようになり、次第に生息数が減少して一時期は絶滅の恐れがありました。1911年に「オットセイ保護条約」が結ばれたのをきっかけに、個体数は回復していきました。しかしその後、天敵のシャチやサメなどの増加や、1989年にアラスカ近海で起きたタンカー座礁事故による海洋汚染の影響などにより、ラッコは2000年からIUCN(国際自然保護連合)によって絶滅危惧種に分類され、2020年にレッドリストに登録されました。
どんなものを食べる?
ラッコは肉食で、ハマグリ、アワビ、ホタテ、ムール貝などの貝類や魚、ウニやイカ、カニ、海藻などを食べます。冷たい水中で体温を保つため、また体に必要な水分を取り込むために、1日に体重の20~25%の食物を食べます。霊長類以外の哺乳類で道具を使う生き物は極めて稀なことから、石を使って貝などを割ることが出来るラッコは、高い知能があるといわれています。
ラッコは石探しや食物を捕るために潜水をします。通常は水深20mくらいまで潜水可能で、最も深くて100m近くまで潜った個体もいたそうです。潜水時間は約1~2分ほどです。

どんな眠り方をする?
ラッコは仰向けのままコンブなどの海藻類を体に巻きつけて流されるのを防いで眠ります。海藻類がない場所では仰向けの状態で仲間と手をつないで眠ることもあります。
ラッコが水面にプカプカ浮きながら手をつないで安心して寝ている姿は可愛らしいですね。

ラッコは体の特徴が個性的で、愛嬌たっぷりな仕草をします。そんな魅力をもつラッコの数は、少しずつ回復傾向にあるものの、いまだ絶滅危惧種に指定されています。これを機に、人間と自然や動物との関わりあい方について改めて考えてみるのはいかがでしょうか。