月下美人は、夕方や夜になると白く透き通るような花を咲かせて、翌朝には萎んでしまう、どこか儚く美しいイメージを持つ花です。
月下美人の特徴や種類について紹介します。
特徴
科名/属名 | サボテン科 クジャクサボテン属(エピフィルム属) |
英語名 | Dutchmans pipe cactus |
生育サイクル | 多年草 |
開花期 | 6月~11月 |
色 | 白 |
原産地 | メキシコ~中南米 |
おすすめの環境 | 日当たりと水はけの良い場所 |
その他の特徴 | 夜から翌朝にかけて白花を咲かせる一夜花 森林性サボテン1の種類で、常緑性(葉が1年中緑のまま)の多肉植物 暑さに強く、寒さに弱い 開花すると、その姿を見なくても咲いていることが分かるくらい、ジャスミンに似た 柔らかな香りを漂わせる 自家不和合成2であるため、同一個体内での受粉は出来ない。 別名は「ゲツライコウ(月来香)」、「ナイトクイーン」などと呼ばれている |
栽培のコツ | 5~10月頃は、土の表面が乾いたらたっぷり水を与える 11~4月頃は、水やりを控えめにしてやや乾燥気味に管理する 霜や雪に当たる可能性のある地域では、鉢植えがおすすめ 9~10月頃に、切り戻し3を行うとよい 時期により、日当たりの加減が必要になる < 置き場所の目安 > 5月〜6月頃:屋外の日当たりのよい場所で、直射日光を当てる 夏場の日差しが強い時期:室内や屋外の半日陰など(葉焼けを防ぐため) 9月下旬~10月頃:屋外の日当たりのよい場所 11月~4月頃:屋内の日当たりの良い場所に置き、10℃を下回らないように管理する |



花言葉
花言葉は、「あでやかな美人」、「はかない恋」、「はかない美」です。
種類
クジャクサボテン属に分類される植物の原種は、10種類以上あるといわれています。
古くから日本国内で栽培されてきた月下美人は、原産地から持ち込まれた1つの株から、挿し木や株分けなどで増やされてきた「クローン株」であるため、同じ遺伝子による受粉をしても、通常は実がならない状況でした。
その後、別の遺伝子を持つ株が輸入されたことにより、国内での人工授粉が可能になり、結実する月下美人が栽培されるようになりました。
月下美人の原種や近縁種などについて、代表的な種類をいくつか紹介します。
月下美人(ゲッカビジン)
月下美人は、クジャクサボテン属の原種。
草丈は100~300cm。花色は白色。花径は10~12cm。強い芳香がある。
サボテンの仲間であるが、茎は扁平でトゲは無い。
夕方や夜に開花して、朝方には萎んでしまう。
原産地では、夜に飛び交うコウモリによって、受粉が行われている。

姫月下美人(ヒメゲッカビジン)
姫月下美人も原種の一つ。
多花性で、月下美人よりもひと回り小さな花をたくさん咲かせる。強い芳香がある。
翌朝には萎んでしまう月下美人に対して、翌日の昼頃まで咲く。

満月美人(マンゲツビジン)
月下美人と姫月下美人の交配種。
月下美人よりやや小さく、姫月下美人より大きめの花をたくさん咲かせる。
月下美人の華やかさと、姫月下美人の花の多さを兼ね備えた品種。
食用月下美人(ショクヨウゲッカビジン)
当初、日本で栽培されていた月下美人は実がならなかったが、後に日本に持ち込まれた異なる遺伝子を持つ品種と掛け合わせて作られた、花後に赤い果実をつける品種。
受粉後1〜2ヶ月で約10cm前後の赤く熟した実がなるが、ドラゴンフルーツに似ていて、果肉は白く、種は多いが、ほのかな甘みがある。
月下美人は食べられる
月下美人の花は、炒め物や酢の物、天ぷら、スープなどにして食べることができます。また、熟した果実は甘みがあり、ジャムにしたり、生食も可能です。
花弁や萼などは、少しぬめりがあり、クセが無く、オクラのような食感といわれています。
月下美人は、儚く美しい花を堪能した後に、具材に利用して様々な料理を味わうなど、視覚、嗅覚、味覚、それぞれを刺激する様々な楽しみ方があります。

月下美人は、見てもよし、食してもよしと、いろいろな楽しみ方がある植物です。
月下美人の花の魅力を堪能したくなったら、挿し木などから始めて、じっくりと自宅で育ててみるのも楽しいですね。