「勿忘草」はその名前から心情的なイメージが強い花ですが、勿忘草の花言葉にまつわる物語や特徴、種類について紹介します。
特徴
科名 | ムラサキ科 |
英語名 | Forget-me-not |
生育サイクル | 一年草 |
開花期 | 3月~6月 |
色 | 青、白、ピンク、紫 |
原産地 | 世界中の温帯地域 |
おすすめの環境 | 日なたで水はけと風通しのいい土壌を好む。水はけが悪いと腐りやすいので注意する |
その他の特徴 | 勿忘草は本来「多年草」だが、 暑さに弱く、やや涼しい気候を好むため、日本の高温多湿 な夏を乗り越えることが難しく枯れてしまうため、日本では「一年草」に分類されている 種から栽培することも、こぼれ種(人が意図的にまいたものではなく、自然にこぼれ落ちた 種子)で増やすことも簡単にできて育てやすい 別名は「忘れな草」、「フォーゲットミーノット」、「ミオソティス」などと呼ばれている |
栽培のコツ | 庭植えでは、雨が降らず乾燥が続く場合はたっぷりと水やりをする 鉢植えでは、土の表面が乾いてきたらたっぷりと水やりをする 株が蒸れやすいため、水やりの際はなるべく株を濡らさずに根元に水を与えるようにする |
花言葉
全体の花言葉と花の色ごとの花言葉があります。
全体 | 私を忘れないで、誠の愛、真実の友情 |
青 | 真実の愛 |
白 | 私を忘れないで |
ピンク | 真実の友情 |
勿忘草の花言葉で名前の由来にもなっている「私を忘れないで」は、中世ドイツのある悲しい物語に由来しています。
中世ドイツの悲恋物語
昔、若い騎士ルドルフと恋人のベルタがドナウ川のほとりを散歩していると、岸辺に美しい花を見つけました。
ルドルフはその花をベルタにプレゼントしようと身を乗り出して摘んだ時、誤って足を滑らせて川に落ち、流されてしまいました。
ルドルフは溺れそうになりながらも懸命に力を振り絞り、摘んだ花を岸に投げると、ベルタに「私を忘れないで!」と言葉を残し、力尽きて命を落としてしまいました。
残されたベルタは、ルドルフの形見であるその花を生涯肌身離さず大切に持ち続けました。
そしてその花は「忘れな草」と呼ばれるようになった、といわれています。

種類
勿忘草はアジア、アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパ、南北アメリカなどに約100種が分布しています。ここでは代表的な品種を紹介します。
エゾムラサキ(学名:ミオソティス・シルバチカ)
昔から日本に自生している日本原産の品種。北海道~本州の山地の林内に野生化している。高さは約12~40cm。花期は4~5月。蕾はピンク色で開花初期はややピンク色を帯びていて、その後青色に変化する。

ノハラワスレナグサ(学名:ミオソティス・アルペストリス)
明治時代に輸入された品種。一般的にワスレナグサという場合は、ノハラワスレナグサを指すことが多い。高さ20~45㎝。花色は淡い青色や紫色。花期は5~9月。

シンワスレナグサ(学名:ミオソティス・スコルピオイデス)
シンワスレナグサの学名にある「スコルピオイデス(scorpioides)」は、花序(花軸についている花の配列状態)の先が巻いていて、サソリの尾に似ていることからつけられた。シンワスレナグサはもともと観賞用として輸入された品種で、野生化したり、日本の在来種のエゾムラサキと交雑したりして全国に分布が広がっている。園芸用に改良された品種に比べて花の色が少し地味であるため、現在はあまり観賞用として使われていない。この品種こそが真のワスレナグサである、という意味から名づけられた。高さは約20~50cm。花期は6~8月。湿った場所を好む。

ノハラムラサキ(学名:ミオソティス・アルベンシス)
一般的な勿忘草(シンワスレナグサやノハラワスレナグサなど)に比べて花はとても小さく目立たない。高さは約10~40㎝。花期は4~7月。

ブルームッツ
勿忘草の園芸品種の一つ。高さは約40cm。一般的な勿忘草に比べて花も葉も大きい。花色は青紫色。切り花用として改良された品種。
ミオマルク
勿忘草の園芸品種の一つ。高さは約20cm。一般的な勿忘草に比べて2~4倍ほどの大きな花がこんもりと咲く。花色は花は淡い青色から次第にピンク色を帯びた色に変化する。夏の暑さや冬の寒さに強い品種。
勿忘草にも様々な品種がありますね。

勿忘草はその代表的な淡い青色の花色が可憐で愛らしく、切り花やアレンジメントにすれば主役にも脇役にもなれる魅力的な花です。比較的育てやすい花なので花壇で株を増やしたり、寄せ植えをして他の花々と一緒に育てたりしながら楽しむのも素敵ですね。