桃の花の品種と特徴、桃の神秘的な魅力について

Peachblossom1 花図鑑
記事内に広告が含まれています。

みなさんは、「桃」と聞いて何を連想しますか?

桃の節句に飾られる可愛らしい花?それとも甘い果実?または、幼い頃に聞いた昔話、ということもあるかもしれません。

今回は、桃の花の品種や特徴、桃の神秘的な魅力について紹介します。

特徴

科名バラ
英語名Peach blossom
開花期3月~4月
赤、白、ピンク、複色
原産地中国
おすすめの環境日当たりと水はけのよい場所を好む
その他の特徴花桃は寒冷地に強く、実桃は比較的暖かい地域を好む
花桃にも実はなるが、直径5~6cmほどと小さく、あまり美味しくないため、食用向きではない
栽培のコツ花桃は大きく育つため、庭植えが向いているが、剪定をしっかりと行う場合は大きめな鉢植え
でも栽培可能
庭植えでは、根付くまでの間や暑さで土が乾燥している時以外は、水やりの必要はない
鉢植えでは、土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりをする

花言葉

桃の花言葉は、「チャーミング」、「気立ての良さ」、「恋のとりこ」です。

種類

桃には、観賞用の「花桃(はなもも)」と、食用の「実桃(みもも)」があり、用途によって分類されています。

今回は花桃の代表的な品種について紹介します。

花桃は、弥生時代に渡来し、江戸時代に入ると品種改良が盛んに行われるようになりました。現在栽培されている花桃の多くは、江戸時代に作られた品種といわれています。

矢口(やぐち)

花桃の代表的な品種。花色はピンク色で八重咲き。切り花用によく使われており、雛祭りに飾る桃の花として人気が高い。

yaguchi
矢口

関白(かんぱく)

花色は白色で、八重咲き。

kanpaku
関白

源平(げんぺい)

花色は赤色、白色、紅白の絞りの3色で、八重咲き。3色の花が競うように咲き乱れる様子が源平合戦に見立てられてその名がついた。

genpei
源平

菊桃(きくもも)

花色は濃いピンク色で八重咲き。細長い花弁の重なる様子が菊の花のように見える。

kikumomo
菊桃

照手(てるて)

花色はピンク色が多いが、赤色、白色のものもあり、八重咲き。枝が広がらず、真っすぐ上に伸びるのが特徴で、狭い場所でも育てられる。

terite
照手

このように花桃には、様々な種類があります。

桃の神秘的な魅力

桃の原産地である中国では、昔から「桃の木には体の中の悪いものを取り除く力がある」といわれていて、桃は「災いを除き、福を招くもの」と信じられてきました。

そうした考え方が日本に伝わり、古来から桃は縁起物として親しまれてきました。

そんな桃にまつわる逸話をいくつか紹介します。

神様になった桃

桃は「 意富加牟豆美命(おおかむづみのみこと)」という神様として、「古事記」に登場しています。

黄泉の国の神話

神の命を受けて地上に降り立ち、日本の国土や神々を生み出してきたイザナギとイザナミは幸せに過ごしていました。

しかしある時、突然二人に不幸が訪れます。

イザナミが、火の神である「火之迦具土神(ひのかぐつち)」を生んだ時、大火傷を負い、亡くなってしまいました。

イザナギはイザナミを失った悲しみから立ち直れず、イザナミに逢うために、死者が住む黄泉の国へ赴きました。そこで醜く変わり果てたイザナミの姿を見たイザナギは、驚いて一目散に逃げ出しました。

イザナミは恥をかかされたと怒り狂い、黄泉の国の軍勢を使ってイザナギを追いかけます。イザナギは追手を振り払いながら何とか逃げ延びようとしますが、追手は次から次と現れます。

イザナギが、生者が住む現世と黄泉の国の境目にある、黄泉比良坂(よもつひらさか)までようやく辿り着いた時、追手がすぐそこまで迫ってきました。

イザナギは坂の下に桃の木があるのを見つけると、そこで桃を3つもぎ取り、黄泉の国の軍勢に向かって投げつけました。

すると、桃の退魔の力により、黄泉の国の軍勢は一斉に退散していきました。

命を助けられたことに感謝したイザナギにより、桃は「意富加牟豆美命(おおかむづみのみこと)」という神の名を授けられました。

不老長寿の果実

中国では古来から、桃の木を「仙木」、桃の果実を「仙果」と呼び、桃には邪気を払い、不老長寿の力があると考えられてきました。

西遊記伝説

孫悟空は天界にいた頃、西王母(せいおうぼ(中国で古くから信仰されてきた不老長寿を司る女神で、全ての仙女を統率していた))が所有する蟠桃園(ばんとうえん)の管理人を任されていました。ある時、孫悟空は、西王母の誕生を祝う宴である「蟠桃会(ばんとうえ)」に自分だけ招待されなかった事に腹を立てて、蟠桃園の桃(蟠桃(ばんとう))を食べ尽くしてしまいました。この蟠桃は、3000年に一度実がなり、これを食べると不老不死になれる、という大変貴重な桃でした。

孫悟空の悪行を知った西王母はたいそう怒り、孫悟空を八卦炉(はっけろ)に閉じ込めました。その八卦炉からうまく逃げおおせた孫悟空でしたが、今度は釈迦如来に見つかり、五行山と名付けられた岩山に500年間封じられることになりました。

その後、五行山を通りがかった三蔵法師が孫悟空を助け出して、共に経典を取りに行くため、いざ天竺へ...と、「西遊記」の物語は続きますが、蟠桃という不思議な力をもつ桃が登場しています。

桃の節句

上記の「西遊記伝説」で登場した、桃に縁の深い西王母の誕生日は3月3日とされています。この日は日本では、「桃の節句」と呼ばれる、女の子の健やかな成長を願う雛祭りが行われます。

桃の節句で桃を飾るのは、桃の持つ不老長寿や魔除けの力を、子供の厄除けの一環として取り入れたことが始まりといわれています。

hinamatsuri

桃太郎伝説

日本の昔話で有名な「桃太郎」は、桃に不老長寿や魔除けの力があったことに関係しているといわれています。

桃太郎の説話は、室町時代末期から江戸時代初期につくられたとされています。明治時代以降は、桃太郎は桃から生まれた設定になっていますが、それまでは桃を食べたお爺さんとお婆さんが若返って桃太郎を出産した、という話が主流でした。

Peachblossom2

桃は、日本に古くから伝わる行事や物語などに登場していて、昔から日本人にとって馴染み深い植物の一つです。梅や桜と同様に桃の花を見に出かけたり、部屋に切り花を生けて、春の風景として取り入れてみるのも素敵ですね。

食用の実桃の詳細については、桃の種類と健康効果で紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。