知られざるナマケモノの生態や種類について

namakemono その他動物(大型・中型)
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ナマケモノといえば、枝にぶら下がりながらゆっくりと移動する様子が印象的ですが、なぜゆっくり動くのか疑問に思ったことはありませんか?

謎に包まれたナマケモノの生態や種類について紹介します。

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特徴

正式名称ナマケモノ
英語名Sloth
分類有毛目 ナマケモノ亜目
生息地中央アメリカ、南アメリカ
体長45~70cm
体重3~9kg
性格のんびり屋、大人しい
その他の特徴サルではなく、アリクイの仲間
名前の通り、生活スタイルがゆったりとしていて、動くことが少ない
寿命は野生下では10~20年、飼育下では30年ほど
天敵はオウギワシやジャガーなど
チャームポイントのんびりした動作、柔和な表情
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ナマケモノ

生態

ナマケモノは、主に中央アメリカや南アメリカの熱帯雨林に生息しています。

基本的に繁殖期以外は単独で生活していて、1日の大半(15〜20時間ほど)は樹上で寝ていることが多く、時々起きて食事をしたり、木の間をゆっくりと移動したり、繁殖も樹上で行われます。

移動速度が遅いため、風景に馴染んで天敵に見つかりにくいメリットがあります。

排泄は1週間に1回程度で、木から地面に降りて行います。

地面では、前足にある内側に湾曲して鋭く尖った鉤爪(かぎづめ)を地面に引っかけて匍匐前進(ほふくぜんしん)のように移動します。

地面にいる間は、天敵から捕食されるリスクが大きく、命がけの移動になります。

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地面を進むナマケモノの親子

身体的特徴

恒温動物1に分類されている哺乳類の中では珍しく、変温動物2に近い特性を持っていて、体温は周囲の温度変化により、24~33℃の間を推移する。過度に高温や低温の環境になると、代謝が止まってしまうといわれている。

一般的な哺乳類と比べて、あまり動かないナマケモノの筋肉量はかなり少なく、寒い時に体を震わせて熱を生み出すことは出来ない。樹上の日なたや日陰に移動して体温を調整している。

前足は後ろ足より長く、樹上を移動する際に、枝にぶら下がったり、幹にしがみついたりするのに適している。

樹上で過ごす際は、寝ている間も含めて、鉤爪を枝に引っかけてぶら下がっていることが多い。

爪の長さは5~10cmで、一生伸び続ける。

野性下では樹上で生活するうちに自然に摩耗するが、飼育下では活動範囲が限られることから、爪切りが必要になる場合もある。

繁殖期に雄が雌を巡って争う際に、長い爪を使って威嚇したり、攻撃したりする。

被毛に宿る生態系

枝にぶら下がって生活するナマケモノの被毛は、腹から背中に向かって生えており、内側に短くて柔らかいアンダーコート、外側に長くて粗いガードヘアが生えている。

ガードヘアには、ナマケモノ特有の多数の溝があり、湿気を含みやすく、アンダーコートは密生していて断熱性が高く、体温を維持する役割をもつ。

湿気を含んだ被毛には、藻が付いて増殖しやすく、動き回ることが苦手なナマケモノにとって、藻は重要な食料の1つになる。

被毛が緑色に見えることがあるが、藻の色によるもので、天敵の目を欺くためのカモフラージュ効果がある。

また、被毛は蛾や菌類、昆虫など多様な生物の住処でもあり、小さな生態系が形成されている。

被毛に住む蛾(ナマケモノガ)の雌は、ナマケモノが地上で排泄した際に、被毛から出てフンに産卵する。蛾の幼虫はナマケモノのフンを食べて成長して蛹(さなぎ)になり、その後成虫になると、ナマケモノを探して被毛に入り込み生活する。

蛾の繁殖活動は、ナマケモノの排泄行動に依存している。

被毛に住む蛾の死骸や排泄物が栄養(窒素)を供給して、その栄養分によって被毛の中の藻が成長していき、ナマケモノのエサになったり、カモフラージュが出来たりするため、ナマケモノと蛾は相利共生(そうりきょうせい)3の可能性が強いといわれている。

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特殊な胃

胃は複数(3~4つ)あり、牛などの反芻(はんすう)動物に似た働きをする。

ナマケモノは自分で消化することは出来ず、食べた植物を発酵する微生物を胃に住まわせて、消化活動を任せている。

周囲の環境により、ナマケモノの体温が下がると、胃にいる微生物の消化活動が鈍り、正常に進まなくなってしまう。

普段から消化活動に合わせて、省エネルギーで活動をしているナマケモノにとって、体温低下が続くと死活問題になる。

消化速度は、哺乳類で最低レベルといわれるほど遅く、常に胃の内容物が大量に(体重の3割以上になることも)ある状態のため、少食であるといわれている。

強靭骨格

ナマケモノの骨は、骨の外側部分の皮質骨が厚く、密度が高いため、木から落下しても折れにくく、頑丈なつくりになっている。

四肢の骨が長く湾曲していて、枝にしがみつくことに適している。

食性

基本的に草食で、木の葉や新芽、花や果実などを食べる。

かなり少食で、一日に8gほどしか食べない。

なぜゆっくり動く?

ゆっくりとした動きの謎は、ナマケモノ特有の体の構造に、いくつかヒントがあります。

① 特殊な消化活動によるもの

主食の木の葉は栄養価が低く、消化するのに約1週間~最長で1ヵ月ほどかかります。

食べる量も少ないことから、長い期間かけて生み出された少量のエネルギーをなるべく消費しないようにするために、ゆっくりとしか動けないのです。

② 素早く動くための筋肉がほとんどない

ナマケモノの筋肉は、瞬発力を生み出す「速筋繊維」がほとんどなく、持久力を出す「遅筋繊維」に極端に偏っているため、早く動くことが体の構造上難しいといわれています。

ただし、捕食者に狙われた際など、非常時に一瞬だけ素早く動くことができます。

③ 急激な運動により、体温が上がりすぎるリスクがある

変温動物の特性を持つナマケモノは、体温調節が苦手なため、素早く動いて体温が上がることは大きなストレスになってしまいます。

ナマケモノは、自然界で長く生きていくために、ゆっくりと動くように進化して、現在の姿になっています。

種類

ナマケモノは、一生のほとんどを樹上で過ごしますが、その際に大きな役割を果たす鉤状の爪のある前足の指の本数により、「ミユビナマケモノ科」と「フタユビナマケモノ科」の2種類に分類されています。

ミユビナマケモノ科

前足、後ろ足ともに指が3本あり、小さなしっぽが生えている。

頸椎(けいつい(首の骨))が9つあり、首を270度回転させることが出来る。

首を大きく回転させられるため、体を動かさずに出来る限り広い範囲の植物を摂取することが出来る。

主食は木の葉。水分はほぼ葉から補う。

歯は、全てが円柱状で臼歯状の同じ形(ホモドント4)をしていて、生涯伸び続ける。

生息地は雨で浸水しやすい地域のため、腹ばいになり、前足を使って上手に泳ぐことが出来る。

消化の際に出来る胃に溜まったガスが、浮き袋のような役割をしていて、陸にいる時に比べて水中で移動するスピードは2~3倍ほどといわれている。

繁殖期は年に1度あり、妊娠期間は約6か月で、一度に1頭出産する。

赤ちゃんミユビナマケモノは、生後約半年くらいまで母親にしがみついて生活して、1~2年ほど経つと独り立ちする。

この種類は、4種類に分類されている。

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ミユビナマケモノ

中米から南米にかけて広く生息している。

最も一般的で、ナマケモノの代表的な種類。

体長は40~70cm、体重は4~6kg。

被毛は個体差や地域差があり、灰色や灰褐色、暗褐色などで、喉や顎の下などは茶色。

雄の背中には「サドルパッチ」と呼ばれる、中央に黒いラインの入った黄色や橙色の大きい斑紋がある。

ノドジロミユビナマケモノ

南米北部の熱帯雨林に生息している。

体長は45~75cm、体重は3~6kg。

被毛は灰色で、喉と頭部が淡い黄色、または白色。

コロンビアミユビナマケモノ(タテガミナマケモノ)

ブラジル南東部にある大西洋沿岸林(アトランティックフォレスト)にのみ生息している。

体長は50~75cm、体重は4~7kg。

被毛は灰色や褐色で、喉から肩にかけて、黒色の帯状の毛が生える。

生息地の森林伐採などにより、現在「レッドリスト(国際自然保護連合(IUCN)が作成している絶滅危惧種のリスト)」に登録されており、絶滅の危機に瀕している。

ピグミーミユビナマケモノ

パナマのエスクード・デ・ベラグアス島にのみ生息している希少種。

体長は40~50cm、体重は3~3.5kg。

被毛は灰褐色または黄褐色。

生息地が極端に狭く、生息地域にあるマングローブ林の減少などから、生息数は200匹まで減少しているといわれている。

現在「レッドリスト(国際自然保護連合(IUCN)が作成している絶滅危惧種のリスト)」に登録されており、絶滅の危機に瀕している。

フタユビナマケモノ科

前足の指は2本、後ろ足は3本あり、しっぽは退化してほとんどない。

顔を水面に出すことが出来ないため、泳ぐことは出来ない。

主食は木の葉だけでなく、花や果実、小動物なども食べる雑食性で、水分は果実などから補う。

ミユビナマケモノと比べて、体がやや大きい傾向があり、威嚇行為や攻撃的な行動をするといった、やや気性が荒い一面を持ち、少し素早く動くことが出来る。

歯は生涯伸び続けて、犬歯はないが、前の歯が犬歯のように鋭く尖っている。

繁殖期は特になく、1年中繁殖することが可能。妊娠期間は約10〜11か月で、一度に1頭出産する。

赤ちゃんフタユビナマケモノは、生後約半年くらいまで母親にしがみついて生活して、1~2年ほど経つと独り立ちする。

2種類に分類されているが、見た目がよく似ているため、見分けることが難しい。

多くの動物園で飼育されているのはこの種類。

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リンネフタユビナマケモノ

南米北部に生息している。

体長は約60~70cm、体重は約8kg。

被毛は灰褐色で、比較的短め。

頸椎が7つある。首を大きく回すことはできない。

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フタユビナマケモノ

ホフマンフタユビナマケモノ

中米から南米にかけて生息している。

体長は約60~70cm、体重は4~8kg。

被毛は金色や灰色で、長め。

頸椎が6つある。首を大きく回すことはできない。

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ナマケモノは、現在まで子孫を残すために、進化の過程でゆっくり動くことを選択して、私達に愛嬌たっぷりの姿を見せてくれています。

人間の世界ではスピード感を求められる機会が多いですが、ナマケモノのようなスローな生き方に魅力を感じる方も多いのではないでしょうか。

たまには忙しい日常を離れて、癒しを求めてゆっくりと旅行に出かけたり、趣味に浸ったりしてみるのもいいかもしれません。

  1. 恒温動物とは … 気温や水温など、外部環境に依存せずに体温を維持することができる動物のこと ↩︎
  2. 変温動物とは … 気温や水温など、外部環境に依存して体温が変化する動物のこと ↩︎
  3. 相利共生とは … 異なる種類の生物が、互いに何らかの利益を交換しあって生活すること ↩︎
  4. ホモドントとは … 同じ形状の歯を持つ動物のこと ↩︎