プレーリードッグの生態や愛らしさの秘密に迫る

Prairie dog 動物図鑑
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プレーリードッグといえば、2本足で立って遠くを眺める姿が印象的で、何とも言えない可愛らしさがあります。

プレーリードッグの特徴や種類、生態などについて紹介します。

特徴

正式名称プレーリードッグ
英語名Prairie dog
分類齧歯目(げっしもく) リス科
生息地北米の草原地帯
体長30~40cm
体重0.7~1.4kg
性格警戒心が強い、優しい、仲間思い、寂しがり屋
その他の特徴名前の由来は、草原地帯を意味する「プレーリーと、天敵による危険を察知すると
犬のようにキャンキャン鳴いて、仲間に警告することからきている
名前に「ドッグとつくが、犬の仲間ではなく、ジリス(地面で生活するリス)の仲間
リスの仲間だが、頬袋を持っていない
寿命は、野性下では2~4年、飼育下では7~8年
草食動物で、野性下ではイネ科の植物や様々な草、低木の葉や根、樹皮、種子などを食べる
が、植物に付いた土や昆虫を食べることもある
飼育下では、乾草や青菜、りんご、さつまいも、にんじん、ひまわりの種子、煮干しなどを
食べる
生息地は降水量が少ないため、水分は食物から摂取している
緊張したり驚いたりすると、肛門から3本の管を出して臭いを発する
日本でペットとして飼うことが出来る
感染症防止のため、2003年から日本国内への輸入が禁止されているため、現在は国内で繁殖
された個体が流通している(個体数が少なく人気があるため、高額で取引されている)
仲間同士が出会うと、鼻先をつけたり、頬ずりなどをしたりして、スキンシップを取り合う
天敵は、ピューマやオオカミ、コヨーテ、タカなど
チャームポイントモフモフした被毛、アーモンド形のつぶらな瞳、2本足で立つ姿
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プレーリードッグ
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2本足で立つプレーリードッグ
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食事中のプレーリードッグ

生態

プレーリードッグは一夫多妻制で、一匹の雄と数匹の雌、その子供たちで構成される、「コテリー」と呼ばれる集団で生活しています。

子供達は成長すると、雄は自分の新たな集団を求めてコテリーを去り、雌のみコテリーにとどまります。

プレーリードッグは、普段はコテリーの中でのみ、コミュニケーションをとっています。

他にも特徴的な、プレーリードッグの生態について紹介します。

巨大な巣穴

野性のプレーリードッグは、草原地帯に複雑に枝分かれした巣穴を掘り、生活している。

大きなものでは深さが約5m、長さが約30mほどにもなる。

中の平均気温は、年間を通して15℃前後といわれている。

出入り口には土が盛られていて、見張り台として、または雨天時に巣穴の浸水を防ぐためのつくりになっている。

巣穴には、複数の出入り口や寝室、食糧庫、子供部屋、トイレといった様々な部屋がある。

プレーリードッグは社会性の高い動物で、複数のコテリーが、それぞれ縄張りを接するようにして巣穴を作り、地中に通路が縦横無尽に張り巡らされた、「ワード」という大きな縄張りを作る。

さらにワードが集まり、巨大な集団が形成されると、一つの町のようであるため、「タウン」と呼ばれる。

見張り台では交代で見張りをたてていて、見張り役は後ろ足で立ち、巣穴の周囲を常に警戒している。

天敵が近づくと、見張り役が「キャンキャン」と犬のように鳴いて、仲間達に警告する。

警告を聞いた仲間達は、一斉に巣穴に逃げ込む。

巣穴は、フクロウやヘビ、イタチなど、他の動物にも使われることがある。

草原の管理人

プレーリードッグは、巣穴周辺の草が高く育つと、視界確保のために刈り取る習性があるため、「草原の管理人」と呼ばれている。

プレーリードッグが刈り取った後の草に新芽が生えて、柔らかい草が育ち、新たな草原が出来ていく。

草原に住む他の動物達がその草を求めて集まり、生態系が作られていく。

プレーリードッグの習性が、周囲の生態系に対して重要な役割を果たしている。

体のつくり

プレーリードッグは巣穴で生活するため、身体は寸胴で四肢は短い。

通常、雄のほうが雌よりも体が大きいといわれている。

器用な前足

前足は5本指で、指が長く、土を掘りだすのに適した形状をしていて、頑丈で鋭い爪をもっている。

前足は関節の柔軟性が高く、細かい作業ができるため、巣穴の形を整えたり、食物を器用に持つことができる。

後ろ足も5本指で、筋肉が発達していて、立ち上がったり、跳ねたりする動作に適している。

視覚や聴覚

視野が広く、左右の目で周りを見渡すと、ほぼ360度見えているといわれている。

見張り役は、遠くにいる天敵をいち早くみつけるために、後ろ足で立ち上がり、広い視野で巣穴の周囲を監視している。

聴覚は優れていて、耳は小さく体に密着しているため、巣穴での生活に適していて、穴を掘る際に土が入らないようになっている。

伸び続ける歯

切歯と臼歯があり、合わせて22本ある。

切歯は大きくて鋭く、硬い物もかじることが出来て、一生のび続ける。

繁殖

繁殖時期は1~4月で、妊娠期間は約33~38日。1度に1~6匹(平均約5匹)ほど出産する。

赤ちゃんプレーリードッグは、生まれてすぐは毛が生えておらず、目も開いていない未熟な状態だが、1ヵ月程度で毛が伸びて、目も開いて動き回るようになり、巣穴から地上に出てくる。

授乳期間は約30~50日。

意外な獰猛性

プレーリードッグは、発情期を迎えると、非常に凶暴になり、噛みついたりすることがある。

普段は穏やかに共同生活を送っているが、縄張り意識が強く、ひとたび巣穴にいる雄の元に他のコテリーの雄が侵入すると、お尻にある3つの肛門腺から臭いを出して、互いに威嚇し合う。

臭いはそれほど強くないといわれている。

それでも決着がつかない場合は、雌や縄張りを巡る争いになり、敵対する雄を生き埋めにすることがある。

また、産後の雌は、他の雌に対してとても攻撃的になることがある。

雄、雌ともに、意外と獰猛な一面をもっている。

種類

オグロプレーリードッグ

プレーリードッグのなかで最も一般的な品種で、日本でプレーリードッグといえば、この種類のことをいう。

名前の通り、尾が黒いのが特徴。

生息範囲が広く、個体数も多い。

標高1,300~2,000mの乾燥した平原に、数百匹からなるタウンをつくり、生息している。

国内でペットとして流通しているのは、ほとんどがこの種類である。

被毛が白い「ホワイト種」と呼ばれる変種もある。

冬眠はしない。

Oguro Prairie dog
オグロプレーリードッグ
Oguro Prairie dog2
瞑想中(?)のオグロプレーリードッグ

オジロプレーリードッグ

名前の通り、尾が白いのが特徴。

オグロプレーリードッグが生息する地域よりも高い、標高1,500m~3,000mの北米西部の山中に生息している。

オグロプレーリードッグのような大きなタウンを作らず、広範囲な場所に分散して生息する。

冬場に巣穴で半年ほど冬眠をする。

メキシコプレーリードッグ

メキシコの標高1,600~2,200mの草原に生息している。

被毛の色は、灰褐色で尻尾は黒い。冬眠はしない。

かつて害獣として駆除されることが多かったことから個体数が減り、現在、「レッドリスト(国際自然保護連合(IUCN)が作成している絶滅危惧種のリスト)」に登録されている。

ガニソンプレーリードッグ

アメリカのコロラド州やアリゾナ州に生息している。

オジロプレーリードッグに似ているが、被毛の一部に黒毛が混じる。

冬眠する。

ユタプレーリードッグ

アメリカ西部にあるユタ州にのみ生息している。体はやや小さめ。冬眠する。

生息する範囲が狭く、個体数も少ないことから、現在、「レッドリスト(国際自然保護連合(IUCN)が作成している絶滅危惧種のリスト)」に登録されている。

prairie dog2

プレーリードッグが巣穴のそばで立って周囲を警戒する姿は、仲間を守るための重要な行動ですが、プレーリードッグ特有の可愛らしい仕草の一つでもあります。

小さな前足で食物を持って食べる様子も可愛らしいですね。

可愛らしさと獰猛な一面を併せ持つプレーリードッグですが、種類によっては絶滅の恐れがあり、保護活動が行われています。

日本ではペットとして飼育することも可能ですが、まずは動物園などでその姿を観察するのも楽しいかもしれません。