菊は、桜と共に日本の国花の一つとして、国民に広く親しまれている秋の花です。
菊の花言葉や特徴、種類などについて紹介します。
特徴
| 科名/属名 | キク科 キク属 |
| 英語名 | Chrysanthemum |
| 生育サイクル | 多年草 |
| 開花期 | 9月~11月 |
| 色 | 赤、白、黄、緑、紫、茶、ピンク、オレンジ、複色 |
| 原産地 | 中国 |
| おすすめの環境 | 日当たりと水はけのよい場所 |
| その他の特徴 | 花持ちは7~10日程度 鎌倉時代に後鳥羽上皇が菊を大変好み、衣服や刀剣などに菊紋を施して愛用したことが 始まりで、菊紋が皇室の紋として定着している 別名は「イエギク」と呼ばれている 日本に自生する野菊(ノギク)とは大別されている |
| 栽培のコツ | 庭植えは、基本的には降雨にまかせて、夏の暑い時期に土が乾いていたら水やりをする 鉢植えは、土の表面が乾いていたら、たっぷりと水やりをする 短日植物1であるため、予想より早く開花しないよう、1日あたり10時間ほど日の当たる 場所で栽培するとよい |



花言葉
全体の花言葉と花の色ごとの花言葉があります。
| 全体 | 高貴、高尚、高潔 |
| 赤 | あなたを愛しています |
| 白 | 真実、誠実、慕う |
| 黄 | 破れた恋、わずかな愛、長寿と幸福 |
| 紫 | 私を信頼してください、夢がかなう、恋の勝利 |
| ピンク | 甘い夢 |
菊のもつ不思議な力
菊は、奈良時代末期から平安時代初期にかけて、中国から薬用植物として日本に伝わり、薬草や観賞用として利用されてきました。
古くから中国では、菊は邪気を払い、不老長寿の効能があると信じられていました。
菊の花を乾燥させた「菊花(きくか)」は漢方薬として利用されていて、風邪の初期症状や疲れ目、炎症、ストレスの緩和などに効くといわれています。

様々な薬効があるといわれる菊は、古くから日本の行事にも深く関わってきました。
奈良時代には、中国(唐)で行われていた「五節句」が、宮中行事で「節会(せちえ)」として取り入れらるようになったといわれています。
< 五節句とは > …「奇数が並ぶ日」に邪気を払い、健康や長寿を願う行事のこと
| 1月7日 | 人日(じんじつ)の節句 | 七草の節句 |
| 3月3日 | 上巳(じょうし)の節句 | 桃の節句 |
| 5月5日 | 端午(たんご)の節句 | 菖蒲の節句 |
| 7月7日 | 七夕(しちせき)の節句 | 笹の節句 |
| 9月9日 | 重陽(ちょうよう)の節句 | 菊の節句 |
五節句は、平安時代になると、文化的に洗練された宮中行事として引き継がれていき、江戸時代には、幕府が公式行事、祝日として制度化して、庶民にも広まるようになり、生活行事として浸透していきました。
明治時代に改暦が行われて、五節句は公式行事として廃止となり祝日から外されましたが、その後、端午の節句のみが「こどもの日」として祝日に復活しました。その他の節句は民間行事として続いているものもあります。
五節句の一つに「重陽の節句(菊の節句)」があります。

中国では、古来からある「陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)」という思想により、奇数は縁起の良い「陽」、偶数は縁起の悪い「陰」と考えられていました。
奇数(陽数)が並ぶ日は、めでたい反面、重なると偶数(陰数)になるため、悪い事にも転じやすいと考えられていたため、季節毎に旬の食べ物を食して、お祝いするとともに厄払いをしていました。
9月9日(旧暦)に行われる重陽の節句は、陽数のうちの最大数である「9」が重なることからその名がつき、お酒に菊の花びらを漬け込んだ菊酒を飲んだり、菊の花を観賞したりして、菊の花を用いて厄払いや不老長寿、繁栄を願う行事とされてきました。

現在は馴染みの薄い重陽の節句ですが、菊が不老長寿や邪気払いの象徴として、長い間利用されてきた歴史があります。
種類
菊の種類は多種多様で、大きく分けて「和菊」と「西洋菊(洋菊)」の2種類があります。
さらに、花の大きさや咲き方、開花時期や花色(赤菊、白菊、黄菊、桃菊など)により、細かく分類されています。
開花時期で分類した場合は、以下の表のようになります。
| 品種群 | 開花時期 |
| 夏ギク | 4~6月 |
| 夏秋ギク | 7~9月 |
| 秋ギク | 10~11月 |
| 寒ギク | 12月~ |
菊は基本的に秋の花ですが、春と秋のお彼岸やお盆、年末年始や、葬儀などに多く利用されるため、市場では年中流通していて、国内の切り花全体で最多の4割を占めています。
菊が通年で栽培可能なのは、品種改良や「電照栽培2」と呼ばれる、短日植物の菊の特性を利用した栽培方法によります。
菊の主な種類について紹介します。
①和菊
和菊は、古くから日本で伝統的に改良されてきた菊全般のことを指し、主に仏花や盆栽、茶花などに用いられている。
江戸時代には、盛んに品種改良が行われたため、多くの園芸品種が作出されて日本各地で独自の進化を遂げた。これらの菊は「古典菊」と呼ばれていて、品種名は昔の産地名が付くものが多い。
古典菊のなかでも、「江戸菊」、「嵯峨菊」、「肥後菊」の3品種は「日本三大名菊」と呼ばれていて、それぞれに独自の魅力をもっている。
和菊は、花の大きさから以下のように分類されている
| 大菊 (おおぎく) | 花径が20cm前後の大輪で、一茎に一輪を咲かせる一本仕立てが基本になっている 菊花展や品評会などでよく見られる |
| 中菊 (ちゅうぎく) | 花径が9~18cmほどで、一本仕立ても可能だが、一茎に複数の花を咲かせる複数輪仕立て が多い 「江戸菊」や「嵯峨菊」といった古典菊の多くはこの系統に含まれる 「スプレーマム」などの洋菊が含まれることもある |
| 小菊 (こぎく) | 花径が9cm未満で、花色や咲き方が豊富で、別名は「山菊」と呼ばれている 一茎に多数の花を咲かせるスプレー仕立てが多い 盆栽や菊人形などに用いられる |
また、咲き方から以下のように分類される
| 厚物 (あつもの) | 花弁が鱗状に幾重にも重なり、中央に向けて高く盛り上がる花形 |
| 管物 (くだもの) | 花弁が細長い筒状で、放射状に広がる花形 |
| 広物 (ひろもの) | 花弁が広がり、平たく一重になって咲く花形 厚物ほど盛り上がらない |
江戸菊
古典菊の代表的な品種で、東京で育成された品種。花期は9~12月。
始めは平らに咲き、その後花弁がよじれたり、折れ曲がったりして咲く。
咲き方が様々に変化することから、別名は「狂い菊」、「芸菊」などと呼ばれている。

嵯峨菊
古典菊の一つで、京都の嵯峨野で育成された品種。花期は10~11月。
細い花弁が立ち上がるように咲く。

伊勢菊
古典菊の一つで、三重県で育成された品種。花期は8~9月。
嵯峨菊から作出されたといわれている。
大輪種を「松坂菊」、中輪種を「伊勢菊」と呼ぶ。
咲き始めは嵯峨菊に似ているが、次第に花弁が垂れ下がって咲く。

肥後菊
古典菊の一つで、熊本県で育成された品種。花期は2~4月。
一重咲きの細い花弁が特徴。

食用菊
食用菊は、花弁を食用に品種改良されたもの。花期は9~11月。
花弁が大きく、苦味が少ないのが特徴。
ほのかな香りがあり、食感はシャキシャキしている。
< 代表的な品種 >
| 延命楽 (えんめいらく) | 八重咲きの中輪種 花色は紫色 山形県では「もってのほか」、新潟県では「かきのもと」や「おもいのほか」 と呼ばれている |
| 阿房宮 (あぼうぎゅう) | 八重咲きの大輪種 花色は黄色 |

②西洋菊(洋菊)
西洋菊は、西洋で品種改良された菊で、18世紀には中国の菊がヨーロッパに伝わっていたが、19世紀になり、日本の菊が紹介されると、その美しさゆえにヨーロッパで大流行して菊の栽培が盛んに行われるようになり、品種改良が進んでいった。
西洋菊は名前に「マム」とつくことがあるが、キクの学名である「Chrysanthemum(クリサンセマム)」の略からきている。
一本の茎から複数の花を咲かせる、スプレー咲きの品種が多い。
スプレーマム
1940年代にアメリカで作出された品種。その後ヨーロッパに渡り、日本には1970年代に伝わった。
草丈は60~90cm。花色は、赤色、白色、黄色、緑色、ピンク色、オレンジ色、複色など。
花径は3~6cm。花期は10~11月。
1本の茎から分岐して、多くの花をスプレー状に咲かせるのが特徴。

ポットマム
1950年代にアメリカで鉢植え(ポット)用に改良された品種。
草丈は15~50cm。花色は、赤色、白色、黄色、紫色、ピンク色、オレンジ色、複色など。
矮性で花付きがよい。花期は9~11月。

ガーデンマム
日本原産の菊が、ヨーロッパで園芸用として品種改良されたもの。
分枝性が強く、満開時は株全体がドーム状に花で覆われて、華やかに仕上がる。
草丈は30~100cm。花色は、赤色、白色、黄色、紫色、ピンク色、オレンジ色など。
花期は9~11月。
もともと鉢植え用に開発された品種だが、寒さに強く屋外で冬越し出来るため、地植えで育てることもできる。



菊には様々な種類があり、和菊の落ち着いた雰囲気に浸ったり、西洋菊の可愛らしい雰囲気を楽しんだり、楽しみ方も多種多様にあります。
日本各地で行われている菊の展覧会に出かけてみるのもいいですし、お気に入りの菊を見つけて栽培に挑戦してみるのも楽しいですね。