スズランといえば、ベルのような形をした花がいくつも並んだ可憐な花姿をしていて、春の訪れを知らせる代表的な花と言われています。スズランの魅力や種類、花言葉などを紹介します。
特徴
科名 | キジカクシ科(ユリ科に分類されることもある) |
英語名 | Lily of the valley |
生育サイクル | 多年草 |
開花期 | 4月~5月 |
色 | 白、ピンク |
原産地 | ヨーロッパ、アジア、アメリカ |
おすすめの環境 | 明るい日陰で、風通しや水はけのよい土壌を好む 秋から春にかけて日当たりが良く、夏は木陰になる落葉樹の下などが適している |
その他の特徴 | 全草に「コンバラトキシン」や「コンバロシド」などの成分が含まれていて、特に花と根に 多く、誤って摂取すると、めまいや頭痛、嘔吐、血圧低下、心不全、心臓麻痺などの症状が 現れて命に関わることもあるため、取り扱いに注意する 直接触れると、かぶれる恐れがあるため、作業の際は手袋をつけるようにする 日当たりのよい室内で水栽培をすることが可能であるが、成分が水にも溶出するため、置き 場所に注意して、子どもやペットが口にすることがないよう手の届かない場所に保管する こうした有害成分により、病害虫が寄り付かないという利点もある 別名は、「君影草(きみかげそう)」、「谷間の姫百合(たにまのひめゆり)」などと呼ばれて いる |
栽培のコツ | 庭植えでは、根付くまでは乾いたら水やりを行う。根付いた後はとくに水やりの必要はない が、土が乾燥している時は水やりをする 鉢植えでは、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与える 高温多湿に弱いため、真夏は直射日光が当たらない半日陰で管理をするとよい。冬は寒さに 強く、株は休眠しているが生長中で地下茎にエネルギーを溜めているため、控えめに水やり をする 水を与えすぎて、蒸れて根腐れしないように注意する |
花言葉
スズランの花言葉は、「再び幸せが訪れる」、「純粋」、「純潔」、「謙虚」です。
種類
スズランは3種類あります。
それぞれの特徴を紹介します。
ニホンスズラン
本州中部以北、特に北海道に多く自生している。花は葉より低い位置で咲き、葉に隠れるようにして咲く。
草丈は20~30cm。花色は白色。釣鐘型の小さな花が10数個ほど花茎に連なり、下向きに咲く。芳香はあるが、それほど強くはない。

ドイツスズラン
主にヨーロッパや北アジアに自生している。ニホンスズランより花や葉が大きく、耐暑性があり花付きも良いため、園芸用として人気があり、現在日本で出回っているスズランの主流になっている。芳香もニホンスズランより強く、香水やアロマなどの原料に使われている。
草丈は約10~30cm。花色は白色やピンク色。ドイツスズランの花の中央部には赤色の点があるが、ニホンスズランにはないため、花の中を見れば両者の種類を見分けられる。花は葉と同じくらいの高さで咲き、釣鐘型の花が10数個ほど下向きに咲く。葉は15〜20cmほどで幅が広く、艶やか。


ピンクスズラン
ドイツスズランの園芸品種。ドイツスズランと同様に丈夫な性質をもつ。
花色は淡いピンク色。ドイツスズランよりも小ぶりの花を咲かせる。

アメリカスズラン
北アメリカ東部に自生している。草丈は約10~30cm。花色は白色で、葉の縁に白い斑がある。芳香はあるが、それほど強くはない。
花の香り
スズランの花は、気品のあるやさしい香りをしていて、「バラ」や「ジャスミン」とともに、「三大花香(三大フローラルノート)」と呼ばれていて、香料を作る際の基本の香りとして位置づけられています。フローラルノートとは、花の香りを使った香調のことをいいます。
香料の世界では、スズランは英語で「Lily of the Valley (リリー・オブ・ザ・バレイ)」、またはフランス語で「Muguet (ミュゲ)」と呼ばれて、香調を表現することが多いそうです。特に芳香が良いドイツスズランがよく利用されています。
スズランの香りは「ミュゲノート」と呼ばれており、ホワイトフローラルの代表格で、繊細で甘く、爽やかな印象を与えます。香水や芳香剤、ヘアケア製品や衣料用洗剤など、日用品にも多く使われています。スズランから採れる花精油(植物の花から精製する揮発性の精油)は、収油率が低く高価なため、香料の世界では、合成香料(人工的に生成された香料)を調合して、スズランの香りを再現しています。意外なことに、スズラン特有の香り成分は見つかっておらず、他の花も持っている香り成分がバランスよく含有されて、いい香りになっているそうです。

スズランは、取り扱う際には注意が必要ですが、可憐な花姿や爽やかな香りを楽しめるのが魅力です。ミュゲの香りを生活に取り入れて春らしい香りを楽しんでみませんか?