梅の花が咲き始めると、春の足音が聞こえてくるようでワクワクしてきます。梅は観賞用として、可愛らしい花を愛でたり、食用として、梅干しや梅酒などを味わったりすることが出来ます。
今回は食用として利用される梅について、その種類や特徴などを紹介します。
特徴
科名 | バラ科 |
英語名 | Japanese apricot |
開花期 | 1月~3月 |
色 | 赤、白、ピンク |
原産地 | 中国 |
おすすめの環境 | 日当たりと水はけのよい場所を好む |
その他の特徴 | 青梅の実や種には糖と青酸が結合した「青酸配糖体(せいさんはいとうたい)」という成分が 含まれていて、体内に入ると頭痛やめまい、嘔吐などを引き起こすため、生の梅は食べられ ない アルコールや塩に漬けたり、加熱処理をしたものであれば青梅でも食べられる 青酸配糖体は完熟すると分解されるため、完熟梅であれば生のまま食べても問題ない |
種類
梅には、観賞用の「花梅(はなうめ)」と、実を食用とするために品種改良された「実梅(みうめ)」があります。
今回は実梅の主な品種を紹介します。
実梅は、花を咲かせるため観賞用としても楽しめますが、実が多くなるのが特徴で、100種類以上あるといわれています。
梅の実は、梅干しや梅酒、梅シロップや梅ジャムなど、様々な食品に加工されています。


南高梅(なんこううめ・なんこうばい)
全国の梅の収穫量のうち6割を占めている和歌山県の、代表的な品種として広く知られている。種は小さく、皮が薄く、果肉は厚くて柔らかいのが特徴。主に梅干しや梅酒に加工されている。収穫時期は6月中旬~下旬頃。
鶯宿梅(おうしゅくばい)
在来種とされる品種で、主に徳島県で作られている。硬い肉質と強い酸味が特徴で、青梅の状態で収穫されることが多い。梅干しにすると、カリカリ梅に仕上がる。主に梅酒や梅シロップ、梅ジュースなどに加工されている。ヤニ果(果肉に水飴状の樹脂(ヤニ)がつく樹脂障害果)が発生しやすく、栽培が難しいといわれている。収穫時期は6月中旬~下旬頃。
古城梅(こじろうめ)
和歌山県で多く作られている品種。青梅の一級品で「青いダイヤ」とも呼ばれている。主に梅酒や梅シロップに加工されている。収穫時期は5月中旬~下旬頃。
青軸梅(あおじくうめ)
主に和歌山県で作られている品種。香りのよい白い花を咲かせて観賞用としても楽しめる。青梅は梅酒に使用され、熟し始めの黄色く色付いたものは梅干しや梅ジャムに加工されている。収穫時期は6月中旬頃。
白加賀梅(しらかがうめ)
主に群馬県など関東地方で作られている品種。梅酒にも梅干しにも適した梅で、青梅は梅酒に使用され、熟したものは梅干しに加工されている。収穫時期は6月中旬~下旬頃。
甲州小梅(こうしゅうこうめ)
「甲州最小」とも呼ばれる品種で、全国で栽培されているが、山梨県が主な産地である。小粒ながら種が小さく、果肉は厚いため、食感を楽しめる。青梅は塩と赤しそで漬けてカリカリ梅に、完熟したものは梅干しに加工されている。収穫時期は6月上旬頃。
効能
梅は栄養が豊富で、様々な効能があります。
梅が持つ栄養素には、クエン酸、リンゴ酸、カリウム、カルシウム、鉄、ビタミンE、ポリフェノールがあります。
疲労回復
梅に含まれる有機酸のクエン酸やリンゴ酸には、疲れの原因とされる乳酸を抑える効果がある。
食欲増進
酸味成分であるクエン酸やリンゴ酸が、唾液や胃液などの消化酵素の働きを活発にして、食欲を増進させる。
血流改善
青梅をすりおろし、その果汁を長時間かけて弱火で飴状になるまで煮詰めた「梅肉エキス」には、「ムメフラール」と呼ばれる成分が含まれている。ムメフラールには、ケガをした時など血管が損傷した際に血小板が集まって止血する作用(血小板凝集(けっしょうばんぎょうしゅう))を抑えて、血流をスムーズに保つ働きがある。そのため、血流が改善されて動脈硬化などの生活習慣病を予防する効果がある。
カルシウムの吸収を促進する
丈夫な骨を作るためにはカルシウムを摂取することが重要だが、カルシウムは水に溶けにくいため、体内への吸収効率が悪い栄養素である。有機酸のクエン酸やリンゴ酸とカルシウムを一緒に摂取すると、水溶性に変化して腸からの吸収が高まり、骨の老化を予防する効果がある。
抗酸化作用
抗酸化作用とは、体内で発生する活性酸素を除去する働きのことで、加齢とともに減少していく。活性酸素には、体内の免疫機能や感染予防を担う重要な役割があるが、活性酸素が増えすぎると癌や生活習慣病を引き起こす原因になるといわれている。普段から抗酸化作用をもつ栄養素を食事に取り入れることが大切である。
梅に含まれるポリフェノール「梅リグナン」には、抗酸化作用があり、細胞や組織の酸化を防ぐ。
また、梅に含まれるビタミンEにも抗酸化作用があり、老化や動脈硬化を引き起こす原因となる過酸化脂質の抑制に効果がある。
梅を味わう
梅の味を楽しむ調理例をいくつか紹介します。




まだまだ美味しそうな調理例はたくさんありますが、今回はこのくらいにしておきます。

梅は、その可愛らしい花を観賞するだけではなく、味わいを楽しんだり、栄養補給に利用することが出来る、実用的な魅力も持ち合わせています。旬の時期に限らず、普段から健康維持のために梅を利用していきたいですね。
観賞用の花梅の詳細については、梅の花の魅力についてで紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。