フェネックという動物を見たことがありますか?
フェネックは、小柄な体に大きな耳が特徴的なキツネの仲間です。そんなフェネックについて、生態や飼育方法などを紹介します。
特徴
正式名称 | フェネック |
英語名 | Fennec |
分類 | 食肉目 イヌ科 |
生息地 | 北アフリカからアラビア半島にかけての砂漠地帯 |
体長 | 35cm~40cm |
体重 | 1.3kg~1.7kg |
性格 | 好奇心旺盛、神経質、警戒心が強い |
その他の特徴 | 耳の大きさは8~15cmで、顔よりも大きい 夜行性で俊敏で、ジャンプが得意 寿命は、野性下では約10年、飼育下では約12~14年 別名は、「フェネックギツネ」と呼ばれている |
チャームポイント | 大きな耳、フワフワのしっぽ |
生態
フェネックは、イヌ科の中で体の大きさが最小といわれています。
砂漠地帯に生息していて、砂地に巣穴を掘り、小さな群れを作って生活しています。巣穴は、大きいと数メートルの深さになるものもあります。
フェネックの生態について、いくつか紹介します。
食性
フェネックは雑食性の動物で、野生下では主にネズミやトカゲ、小鳥、昆虫、鳥の卵などを食べる。動物園では、馬肉やハツカネズミ、バナナや卵などを与えている。
フェネックは、乾燥して厳しい環境である砂漠地帯で、植物の葉や果実などを食べて水分補給をしている。
夜行性で昼間は眠っていることが多いが、夜になると活発になり、狩りを行う。
大きな耳
フェネックの特徴的な大きな耳は、狩りをする際に小さな音を逃さずに獲物の位置を把握する役目だけではなく、過酷な砂漠での生活に必要な、昼間の高温時の体温調節を行うために放熱する役割もある。耳にある血管を風にあてて放熱することで、体温の上昇を防いでいる。

足の裏
フェネックの足の裏は、びっしりと毛に覆われている。
足の裏の厚い毛には断熱効果があるため、日中の熱い砂の上を問題なく歩くことができる。
足をシャベルのように使って巣穴を掘り、寒暖差のある砂漠の昼夜の暑さや寒さをしのいでいる。足で砂を掘って獲物を捕まえたり、掘った穴に獲物を保管したりすることもある。
フワフワの被毛
フェネックは足の裏だけでなく、体全体がフワフワの長くて厚い被毛に覆われている。
主に砂漠の暑さや寒さから体を保護する役割があるが、被毛の色は顔からお腹にかけて白く、全体的に赤みを帯びたクリーム色をしていて、砂漠の中では保護色になっている。フクロウやジャッカル、ハイエナなど、天敵が多いフェネックの身を守る術の一つになっている。

飼育方法
フェネックは、飼育が禁止されているわけではありませんが、繁殖が難しいことから、国内で取り扱う業者やブリーダーが少ないといわれています。
外見の可愛らしさから人気があり、繁殖が難しく個体数が少ないことから、非常に高額で約60万~100万円で取引されています。時にはさらに高価な場合もあります。こうした価格でも、予約をして購入できるまで数か月待ちということもあるようです。
また、フェネックは「ワシントン条約(絶滅の恐れのある野生動物の保護を目的とした、野生動物を輸出入する国々の国際取引が過度に行われないように規制した条約)」の「附属書Ⅱ」という項目に記載されています。この附属書Ⅱに記載された動植物は、商業目的の取引は可能ですが、取引の際に輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要になります。
海外から輸入する際は、こうした手続きが必要なため、手間と時間がかかりますが、国内の業者やブリーダーから購入する場合も、需要と供給の関係からペットとして迎え入れるまでに時間がかかります。いずれも購入価格は高くなる傾向があり、ペットとして購入するのは、なかなかハードルが高い動物といえます。
そんなフェネックを飼った場合のポイントについて紹介します。
性格
フェネックの性格は、天敵の多い砂漠の中で生活をしてきた背景から、神経質で警戒心が強い。
こうした性格から、はじめは人に懐きにくく、抱っこされたりするのを嫌がるが、時間をかけて地道に信頼関係を築いていくと飼い主に懐いてくる。懐くまでの間は噛みつくこともある。
幼少期に人間と接している個体は懐きやすいといわれている。
食べ物
フェネック用の専用フードは販売されていないため、ドッグフードやキャットフードを主食にして、バナナやリンゴなどの果物や野菜、コオロギやミルワームなどの昆虫を補助的に与えると栄養バランスがよい。
エサは朝と夜の2回与えるが、夜行性のため朝は少なめにして、夜は朝よりも多めに与えるとよく食べる。
犬同様に、ネギ類やチョコレートは有害なので絶対に与えない。
水はあまり多く必要ないが、いつでも飲めるように給水ボトルなどに入れて置いておくとよい。
トイレのしつけ
犬とは違い、フェネックにトイレのしつけをすることは難しく、排泄物の臭いが独特で強いため、様々な場所ですぐに片づけてこまめな清掃を行う必要がある。フェネックは体臭はあまりないが、この臭いが体についてしまうことがある。
素早い対処をすれば、部屋とフェネック自身に強烈な臭いが付着するのを軽減することができる。
トイレの対処法は、「すぐに片づけること」のみのため、飼うには相当な覚悟が必要になる。
夜間に活動
夜行性のフェネックは、夜間に活発になり、大きくて甲高い鳴き声をあげたり、走り回ったりするため、近所迷惑になる可能性が高い。そのため部屋に防音対策を施すなどの対応をしたうえで飼育する。
注意点
フェネックは国内で飼われている頭数が少ないこともあり、受診できる動物病院が限られている。事前にフェネックがケガや病気をした際に、受診可能な動物病院を見つけておいたほうがよい。

フェネックは、その可愛らしい姿を眺めるだけで充分に楽しいですが、実際に飼おうとすると様々な課題があり、ペットにするにはハードルが高い動物です。
気軽に観察してみたいという方は、フェネックに会いに動物園へ出かけてみてはいかがですか?