フェレットはモフモフした細長い体をした、ペットとして人気のある可愛らしい動物です。そんなフェレットの特徴や飼い方、種類などを紹介します。
特徴
正式名称 | フェレット |
英語名 | Ferret |
分類 | 食肉目 イタチ科 |
原産国 | エジプト、ヨーロッパ |
体長 | 35㎝~50㎝ |
体重 | 900g~2,000g |
性格 | 賢い、人懐こい、好奇心が旺盛、冒険心が強い |
その他の特徴 | 頭の幅の隙間があれば狭くても入る込む習性があるため、トンネルのような筒状の物を くぐり抜けるのが得意 臭腺除去や避妊・去勢の手術済みのフェレットを「スーパーフェレット」といい、手術を されていないフェレットを「ノーマルフェレット」という 日本でペットとして飼うフェレットは、ほとんどが「スーパーフェレット」である |
チャームポイント | 小さくて丸い顔、天真爛漫 |
種類
フェレットには、アメリカやカナダ、ニュージーランドなどの国々に、繁殖させるための大規模なファーム(フェレットの繁殖場)があります。同じ品種ではありますが、ファームごとにそれぞれの特徴があり、出身ファームの名を冠した種類に分類されています。いくつか代表的な種類を紹介します。
マーシャルフェレット
体の大きさは他の種類に比べて細くて小さい種類。日本でペットとして一番早く広まり、最も流通しているフェレット。穏やかな性格で噛み癖が少ないため、しつけがしやすく初心者でも飼いやすい。寿命は約6~10年。
パスバレーフェット
体が丈夫で病気にかかりにくい種類。日本ではマーシャルフェレットに次ぐ人気の種類で、被毛の色の種類が多く、マーシャルフェレットよりひと回り大きめで、若干噛み癖がある。比較的おとなしい性格なので、初心者でも飼いやすい。寿命は約6~10年。
カナディアンフェレット
骨太で体格が良く、顔がまるっこい個体が多い種類。特にオスが大きくなる傾向がある。被毛の色の種類は少ない。活発で噛み癖が強いため、しつけに時間がかかることもある。寿命は約4~8年。
アンゴラフェレット
他のフェレットよりも被毛が長く、特徴的な鼻をもつ、数少ない種類で高価。交配過程で突然変異によって生まれた個体を固定させたもの。被毛は約5~10cmのアンダーコート(柔らかい毛)のみで構成されているのが特徴。カナディアンフェレットと同じくらいの大きさ。気性が荒い個体が多いため、しっかりとしつけをする必要がある。寿命は約6~10年。
ニュージーランドフェレット
フェレットのなかでも大型で、原種に最も近いといわれている。カナディアンフェレットと同じくらいの大きさ。オスは2kg以上になる個体もいる。被毛の色の種類は少ない。丸い顔と目の周りのパンダ模様が特徴。気性が激しく噛み癖のある個体が多いため、初心者向けではない。寿命は約4~7年。
歴史
フェレットはイタチ科の肉食動物で、ヨーロッパなどに分布する「ヨーロッパケナガイタチ」、またはヨーロッパから中国にかけて生息する「ステップケナガイタチ」が家畜用に品種改良されたもので、野生種はいません。
フェレットの家畜としての歴史は長く、古代エジプト時代から飼われていたと考えられています。のちにヨーロッパやアメリカに渡り、ウサギなどの狩猟や、ネズミ捕りなどの害獣対策、毛皮動物や実験動物として、さらには穴の中が好きな習性を利用した煙突や水道管の掃除、配管内で電気線を通す作業などのために飼われてきました。現在はコンパニオンアニマル(家族のような関係で人間に飼育されている動物)としての需要が高くなっています。

日本でペットとして認知されるようになったのは、1993年頃にアメリカ人のマイケル・E・コールマンがマーシャルフェレットを日本に輸入して広めたことが始まりとされています。

飼い方
フェレットを迎えるために必要なものを紹介します。
ケージ | 動きが活発なフェレットが1日の大半を過ごす場所なので、なるべく底面積の広いものが おすすめ トイレをケージ内に置く場合、トイレの大きさと比べて空間を圧迫しないくらいの広さが あるほうがよい |
トイレ | フェレットは部屋やケージの隅で排泄する習性があるため、体がすっぽりと入る大きさの 長方形で、入口が広く、高さと奥行きがあるものがよい |
トイレ砂 | ニオイ防止や掃除の手間から敷くと安心、フェレット用または小動物用のものを選ぶとよい |
エサ | 肉食動物で、高たんぱく質、高脂肪の食事が必要なため、フェレット専用のフードが おすすめ ネギ類、乳製品、イカやカニや貝類、チョコレートやマカダミアナッツは与えないこと 食物繊維をうまく消化することができないため、リンゴやバナナなど、食物繊維を多く 含む食品を与えないほうがよい 食事は1日に2~3回に分けて与える 生後3ヶ月程度までは、水やぬるま湯でふやかした餌を少しずつ与えるようにして、それ 以降はドライフードを与える メーカーが欠品になった場合の対策で、2~3社の違うメーカーのフードを混ぜて与える 飼い主が多い 自分で食べる量をコントロールできるため、留守にする際は、多めのエサをエサ入れに いれておくとよい |
エサ入れ | フェレットにひっくり返さることがあるので、ケージに固定できるものがよいが、ある 程度重い皿であれば代用可能 |
水入れ | フェレットにひっくり返さることがあるので、ボトルタイプがおすすめ 1日に必要な水の量は75〜100mlといわれている 留守にする際は、多めに水をいれておいたほうがよい 飲用水は水道水で問題ない、1日1~2回は必ず取り替える ミネラルウォーターはミネラルやカルシウムが多く、尿路結石や腎臓疾患の原因になる 恐れがあるため、与えないほうがよい |
おやつ | フードで充分に栄養摂取が出来ていれば、基本的にはフェレットにおやつは不要だが、 コミュニケーションをとるために使われることがある 食べさせる際は、量や成分に気を付けて与える |
おもちゃ | フェレット用のトンネルや猫じゃらし、ボールなど、飽きないように数種類準備すると よい |
ハンモック | フェレットは睡眠時間が多く、丸くなって寝られるくらいの大きさのもので、ケージで 吊るせるものがおすすめ |
キャリーバック | 動物病院に行く際に必要で、ポリエステル製や布製のものなど、用途に合わせて様々な 種類がある 通気性が良くて脱走しない、フェレットにとって安全なバックを選ぶ |
ハーネス リード | 屋外で遊ばせる際の、脱走防止のための必須アイテム |
清掃道具 | ケージやトイレなどの清掃に必要なもの |
イヤークリーナー 綿棒 | フェレットは耳が汚れやすい生き物のため、綿棒を使ってペット用のイヤークリーナーで 掃除する 綿棒は、赤ちゃん用の小さくて肌に優しいものがよい |
爪切り | 爪は長いとケガの原因になるため、ペット用で小さめのものがあるとよい |
シャンプー | 刺激の少ないペット専用のシャンプーや、フェレット専用のシャンプーがよい |
ブラシ | 日常的に毛が抜けるため、目の細かいブラシで定期的にブラッシングするとよい |
フェレットを飼うためには、さまざまなアイテムが必要ですが、日頃のケアも大切です。
温度・湿度
フェレットにとって快適な温度は15~24℃、理想の湿度は40%~60%で、暑さや寒さに敏感な性質がある。夏場は熱中症にならないよう、エアコンや除湿器などを使用して、冬場はヒーターや加湿器などで、常に室内が適温になるように注意する必要がある。
定期的なお手入れ
お風呂
フェレットの体臭や病気を予防するため、月に1回はペット専用の低刺激シャンプーや、フェレット専用のシャンプーで全身を洗ってあげるとよい。37℃前後のお湯が理想的で、皮脂を取り過ぎない程度に洗う。シャンプーはよくすすいで、タオルドライをしっかりしてあげるとよい。
耳掃除
臭いや中耳炎、外耳炎、耳ダニの発生などを防ぐため、1週間〜10日に1回は専用のイヤークリーナーと綿棒を使って耳掃除をしてあげるとよい。
歯磨き
歯石や歯周病を防ぐため、週に1回は歯磨きをしてあげるとよい。人間用の柔らかいブラシや小型犬や小動物用の歯ブラシを使い、歯の表面を数回なぞるようにして磨き、出血しないように気をつける。
爪切り
ケガの予防のため、週に1回程度、ペット専用の爪切りで切ってあげるとよい。
ブラッシング
フェレットは春と秋が換毛期で、被毛がダブルコート(オーバーコートという長い毛とアンダーコートという柔らかく短い毛の2層構造)であり、舐めて毛づくろいをする習慣があるため、舐めた毛が体内に入り「毛球症」という病気にかかることがある。予防のためにも、週に1〜2回ほど、やさしくなでるようにブラッシングして被毛を取り除いてあげるとよい。
トイレのしつけ
フェレットは隅で排泄する習性があるため、トイレはケージの隅に設置する。しつけをすることが比較的可能な動物なので、糞を少量置いてトイレの場所を認識させることができる。トイレ以外の場所でしてしまった際は、拭きとってにおいを消し、すぐに注意をすると覚えるようになる。
排泄をする間隔が短いため、臭いや衛生面からトイレをこまめに掃除をする必要がある。
誤飲や噛み癖に注意
フェレットは床や地面に落ちているエサ以外の物を誤って食べてしまうことがある。ゴム製品やスポンジ、プラスチックや発泡スチロール、トイレ砂などを誤飲する事故が多発している。
また、部屋の中で遊ばせる時に家電のコードを噛んで感電事故を起こすことがあるため、コードにカバーをつけるなど対策をしたほうがよい。
誤飲や感電を防止するためには、フェレットが危険なものを口にしないよう、ケージや室内を清掃するなど、フェレットにとって安全な環境を整えておく必要がある。

フェレットは古くから、様々な目的で飼育されていましたが、現在は共に生活をする飼い主さんにとって、かけがえのない存在になっています。犬や猫とはまた違った魅力をもつフェレットに癒されてみませんか?