オコジョの生態と驚くべき行動

Ermine 動物図鑑
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オコジョは、胴が長く、足が短いイタチの仲間で、生息地に出かけないとなかなか見られない動物です。

オコジョの特徴や生態について紹介します。

特徴

正式名称オコジョ
英語名Stoat
Ermine
Short-tailed Weasel
分類ネコ目(食肉目)
生息地ヨーロッパ、北アメリカ、アジア
体長雄:18cm~33cm
雌:17cm~27cm
体重雄:220~450g
雌:160~310g
性格警戒心が強い、攻撃的
その他の特徴基本的には夜行性
日中は活動することもあるが、ほとんどは巣穴で休んでいる
雄のほうが雌よりも大きい
動きはとても俊敏
天敵は、キツネや猛禽類など
寿命は、野性下では4~6年、飼育下では約10年といわれている
絶滅危惧種や天然記念物に指定されていることやその性格から、飼育することは出来ない
チャームポイントつぶらな瞳、冬場の白く美しい毛

生態

オコジョの生息地は、世界各地の比較的寒い地域にあり、日本でも北海道や本州中部以北の山岳地帯などに生息しています。

動きが俊敏で単独行動を好み、日中は岩間や木の根元の隙間などに潜んでいます。ネズミの巣穴を奪い、自分の住処にすることもあります。

オコジョの生態について紹介します。

毛色の変化

オコジョは年に2回、春と秋に換毛期があり、毛色が変化する。

春には鼻先から背中、尾にかけて茶色い夏毛に変わり、秋になると全身が真っ白な冬毛になる。一年を通して毛色が変わらないのは、白色の下顎から腹部までと、黒色の尾の先端部分である。

真っ白い冬毛のオコジョは、ヨーロッパでは「アーミン」と呼ばれていて、その白い毛皮は、古くからヨーロッパの王族や貴族といった上流階級の人々に珍重されていた。

オコジョは毛色を変化させることで、夏は土の色に馴染み、冬は雪景色に溶け込んで天敵から身を守り、エサとなる小動物に気付かれにくくなる。時期によっては風景と毛色がそぐわず、目立ってしまうこともある。

冬毛のオコジョ

個性的な捕食方法

オコジョは肉食動物で、野ネズミや昆虫、両生類や野ウサギ、鳥などを捕食する。時には自分より大きな獲物でも構わずに襲い掛かる。食べきれなかった獲物を巣穴に持ち帰り、後で食べることもある。

オコジョは前足に比べて後ろ足が長く、高い跳躍力を持っている。

狩りをする際、獲物の周りで大きくジャンプしたり、転がったりしながら踊るような動きをする。獲物がその動きに気をとられて油断した隙に、オコジョは獲物の首元に噛みついて一撃で仕留める。

こうしたオコジョの躍るような動きは、「Weasel War Dance(イタチの戦いの踊り)」と呼ばれている。

種類

オコジョは35種類以上の亜種1がいるが、日本には「エゾオコジョ」と「ホンドオコジョ」の2亜種が生息している。

2亜種とも、環境省レッドリストの「準絶滅危惧種(NT)2」に指定されている。

主な原因は、毛皮目的の乱獲や、森林伐採、毛皮のために大量に輸入したミンクの一部が野生化して生態系が崩れたことにより、オコジョの生息地や獲物が減少したためといわれている。

エゾオコジョ

生息地は北海道の山岳地帯。体の大きさは、雄は約24cm、雌は約22cmほど。冬眠はせずに、一年を通して昼夜活動する。小動物だけではなく、木の実なども食べる。別名は「エゾイタチ(蝦夷鼬)」と呼ばれている。

ホンドオコジョ

生息地は東北地方や中部地方などの山岳地帯。エゾオコジョに比べて少し体が小さい。木登りや泳ぐことも得意。ネズミなどの小動物を食べる。長野県では天然記念物に指定されている。別名は「ヤマイタチ(山鼬)」、「クダギツネ(管狐)」などと呼ばれている。

出産と子育て

オコジョの繁殖期間は5~6月頃で、着床遅延3により、実際に妊娠するのは翌年の春になる。

約4週間の妊娠期間を経て、4~5月頃に4~9匹の赤ちゃんを巣穴で出産する。

子育ては雌のみで行われる。

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オコジョは、見た目の可愛らしさからは想像できないほどの獰猛さを持っています。

もし生息地でオコジョを見かけても、近づいて撫でてみようとせずに適度な距離をとり、そっと見守るくらいが良さそうです。

  1. 亜種とは・・・生物の分類学上、同一種に属していて、生息する地域により何らかの差異がみられる時に区別するものをいう ↩︎
  2. 準絶滅危惧種(NT)とは・・・現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種のこと ↩︎
  3. 着床遅延とは・・・受精卵がすぐに着床せずに、しばらくの間子宮内を浮遊した後に着床すること ↩︎