モモンガは、前足と後ろ足の間にあるマントのような皮膜を使って木々の間などを滑空する、大きな目とフサフサした被毛をもつ小動物です。
モモンガは以下の表にある通り、大きく2種類に分類されています。
日本で飼育可能なモモンガの種類や、特徴、飼育する際のポイントなどを紹介します。
特徴
正式名称 | ①モモンガ | ②フクロモモンガ |
英語名 | Flying squirrel | Sugar Glider |
分類 | 齧歯(げっし)目 リス科 | カンガルー目 フクロモモンガ科 |
原産国 | ユーラシア中北部、アジア北部、北アメリカ | オーストラリア大陸、ニューギニア諸島 |
体高 | 約13〜20cm | 約12〜15cm |
体重 | 約50〜200g | 約80〜160g |
性格 | 警戒心が強い、神経質、人に懐きにくいが ストレスに強い | 警戒心が強い、神経質、時間はかかるが 人に懐く、社交性が高い |
その他の特徴 | 夜行性で、樹上で生活をする 群れを作らない 鳴き声が小さい 寿命は野生下では5~7年、飼育下では 約12年 平均的に10〜50mほど滑空できる | 夜行性で、樹上で生活をする 群れで行動する よく鳴き、声が大きい 寿命は野生下では5~7年、飼育下では 約10~15年 最高で90mほど滑空できる。 |
チャームポイント | つぶらな瞳、長いしっぽ | つぶらな瞳、長いしっぽ |
種類
モモンガは、上の表にある通り、2種類に分類されています。
齧歯(げっし)目リス科のモモンガは、約45種類あり、カンガルー目フクロモモンガ科のモモンガは、6種類ほどあります。
分類上異なる種類の動物であるにもかかわらず、同じような見た目になる現象を「収斂(しゅうれん)進化」といい、モモンガもこれに該当します。
現在、日本でペットとして飼育が可能な種類は、「アメリカモモンガ」と「フクロモモンガ」の2種類です。
代表的なモモンガの種類をいくつか紹介します。
①モモンガ(齧歯目 リス科)
リスの仲間として分類されている。
タイリクモモンガ
生息地はユーラシア大陸北部。体長は14~20cm。体重は80~120g。性格はとても神経質で、ストレスで死んでしまうこともある。
食性は雑食性で、樹木の種子や木の芽、果実、キノコなどを食べる。
かつては飼育可能な種類で人気があったが、日本固有種のエゾモモンガとの交配や競合が懸念され、2006年に「外来生物法1」により特定外来生物2に指定されたため、現在は輸入や飼育が禁止されている。
野生下での寿命は3~5年ほど。
アメリカモモンガ
日本でペットとして飼育可能な種類の一つ。
2005年以降、輸入動物の規制が強化されたため、アメリカモモンガを国内に輸入することが困難になっている。
ペットショップやブリーダーから購入するのが主流だが、取り扱っているところはそう多くない。
生息地はアメリカやメキシコ、カナダなど。体長は13~15cm。体重は50~130g。被毛は茶褐色、腹部はクリーム色。
基本的に単独で行動し、性格は臆病で警戒心が強く、人に懐きにくいがストレスには強い。
食性は雑食性で、木の実や果物、昆虫や鳥のヒナなども食べる。
体臭が少なく、排泄物の量も少なく、あまり臭いがしない。
野生下での寿命は5~7年ほどで、飼育下では12年前後といわれている。
エゾモモンガ
タイリクモモンガの亜種3で、生息地は北海島。日本固有種。体長は15~18cm。体重は80~120g。
食性は雑食性で、木の実や花や葉、樹皮、昆虫などを食べる。
基本的には単独行動をするが、巣穴に別のエゾモモンガがやってくると、拒まずに受け入れて身を寄せ合い、北海道の厳しい冬を乗り越えていく。
「鳥獣保護法4」により捕獲が出来ないため、ペットとして飼育できない。
野生下での寿命は3~5年ほど。


ニホンモモンガ(ホンシュウモモンガ)
生息地は本州・四国・九州。日本固有種。体長は15~20cm。体重は100~200g。
「鳥獣保護法」により捕獲が出来ないため、ペットとして飼育できない。
食性はほぼ草食性で、葉や芽、花や果実、樹皮などを食べる。
野生下での寿命は4~5年ほど。

②フクロモモンガ(カンガルー目 フクロモモンガ科)
カンガルーの仲間として分類されている。
フクロモモンガ
日本でペットとして飼育されているモモンガのうち、大半を占めている。
生息地はオーストラリア北西部から南東部の沿岸、タスマニア、ニューギニア。
体長は12~15cm。体重は80~150g。
雌はお腹に子供を育てるための袋である「育児囊(いくじのう)」がある。
野生下では群れで生活していて社会性が高いため、多頭飼いにも向いている。
食性は雑食性で、樹液、果物や昆虫等を食べる。
時間をかけてコミュニケーションをとると、手の上で甘えるほど懐いてくる。
縄張り意識が強く、マーキングをする習性があるため臭腺が発達している。齧歯目のモモンガと比べると、臭いはやや強め。雌も臭いはあるが、雄のほうが臭いが強い。排泄物の量が多くて臭う。
野生下での寿命は5~7年ほどで、飼育下では10~15年ほどといわれている。

お世話のポイント
日本で飼育できるモモンガは、アメリカモモンガとフクロモモンガですが、種類毎に特徴が異なり、それぞれに適した飼育環境があります。
アメリカモモンガとフクロモモンガのお世話のポイントについて、それぞれ紹介します。
アメリカモモンガのお世話のポイント
- 単独性があるため、一匹で飼うほうがよい
- 人になかなか慣れない傾向があるため、観賞用として飼うくらいの感覚で接するのがよい
- 齧歯類の動物は歯が一生伸び続けるため、歯のお手入を欠かさないようにする
- 寒さには強いが、暑さと湿気に弱いため、室温は18~23℃くらいがよい
フクロモモンガのお世話のポイント
- 野生下では群れで生活することから、多頭飼いも可能
- 臭腺や排泄物の臭いが強いため、空気清浄機や消臭グッズなどで消臭したほうがよい
- 寒さに弱いため、室温は20~28℃くらいがよい
共通するお世話のポイント
- トイレのしつけをしても覚えない
- 種類に合わせた適温を保つことが重要
- エサやりの頻度は1日に1回
- 繊細でストレスを感じやすい性質のため、大きな音を出したり、強い光を浴びせたり、大きな振動を与えたりすることは避けた方がよい
- 夜行性だが、骨を健康に保つために、適度に日光浴をさせる必要がある、ただし直射日光は避けたほうがよい
- 脱走や事故の原因となるため、ドアや窓を開け放しにしない
- ケージから出す際は、家具などの隙間に入り込んだり、電気コードをかじったりする場合があるので注意が必要
- モモンガの診察や健康診断が出来る動物病院を探しておく

モモンガを飼育する際は、飼育環境を充分に整える必要があり、犬や猫のようにしつけることはできませんが、その可愛らしい姿や、種類によっては甘えん坊といった魅力に触れてみるのはいかがでしょうか。